米超党派の14議員、AP通信に中国新華社との連携について説明を求める

2018/12/28 更新: 2018/12/28

米国の連邦議会議員は、AP通信に対し、中国の国営メディア・新華社通信と最近の提携についての説明を求めた。議員たちは、中国共産党の宣伝が米国メディアに浸透することを懸念している。

上院と下院の超党派14人の議員は、AP通信ゲイリー・プルートCEOに宛てた12月19日付の書簡で「新華社の中核的な使命は、中国共産党を支持する世論を形成することだ。これは、独立したジャーナリズムと全く異なる」と指摘した。

米司法省と連邦政府は9月、中国官製メディア・新華社通信および中国中央テレビ(CCTV)、同傘下のチャイナ・グローバル・テレビネットワーク(CGTN)を外国代理人として登録した。中国外交部によると、この認定通知を米国から受けている。

書簡には「新華社は、中国の問題行動を正当なものとして描写する。米国の外交政策やメッセージ性を弱体化させる恐れがある」と書いた。

新華社11月25日の報道によれば、AP通信と「相互に有益な協力」を強化する覚書に署名した。2社はAIによる報道などで提携するという。AP通信は非営利の報道組合で、世界の1万5000以上ものメディアに記事を提供している。

議員たちは、新華社を国営宣伝機関と説明したうえで、AP通信がパートナーと見なせば「知らないうちに報道を色づける宣伝に染まるかもしれない」と懸念を示した。

2社の交わした取り決めの詳細は公開されていない。議員たちは、AP通信に対して覚書の全文公開を求めている。「中国政府との財政的取り決めが交わされているならば、独立したジャーナリズムに影響を及ぼす可能性もある」と指摘する。

APのメディア広報担当ディレクター、ローレン・イーストン氏は、ワシントン・ポストの取材に対して「AP通信のジャーナリズム、社説、その他に影響を与えることはない」と電子メールで回答した。加えて、新華社は、AP通信が所有する独自情報にアクセスすることはできないと述べた。

覚書は、AP通信が中国国内で活動するために、1972年に中国国営メディアとの間で交わされた契約の更新だという。2018年初め、AP通信は中国国営CCTVとの提携も開始し、同社の映像提供サービスの顧客は、CCTVで制作された映像を入手できるようになった。

中国の王毅外相や報道官は海外メディアに対して、中国報道に関しては新華社を引用し、「中国について良い話を伝える」よう何度も求めている。ニュージーランド拠点の中国専門家アンマリー・ブレディ氏は、これを「メディア市場の独裁」と形容する。

ブレディ氏によると、新華社の海外特派員は単なる記者ではなく、諜報員であり、政府高官や共産党幹部のために海外の最新情報を提供しているという。同氏によると、中国政府はここ数カ月、国際世論の形成により力を入れている。

(編集・佐渡道世)

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