FBI、中国系の国際売春ネットワークを解体させる リーダーをカナダで逮捕

2019/01/23 更新: 2019/01/23

米国連邦捜査局(FBI)は人身売買と犯罪組織運営などの罪で、複数の国にまたがる国際売春ネットワークを運営していた中国系の6人を起訴した。協力するカナダ捜査当局は、トロント在住の組織リーダー役を1月17日に逮捕した。

米国司法省は1月15日、6人に対する2件のオレゴン州ポートランド大陪審の起訴状を開封した。FBI児童略取対応当局は法執行機関の協力を得て、米国外を含む12以上の地域で捜査を行った。

起訴状によると、カナダのトロント在住チェン・ゾンタオ(通名マーク・チェン、46)は国際売春ネットワークを統括するリーダーで、売春させる目的の女性を中国で雇用し、ウェブサイトを通じて米国、カナダ、オーストラリアでの売春に従事させた。

2015年8月から2018年11月まで運営されていたこの組織は、SuperMatchEscort.comを含む20以上のウェブサイトに、雇用する女性の情報を掲載し顧客を募った。

顧客は掲載された連絡先にある電話、電子メール、中国アプリの微信(WeChat)を通じてメッセージを送信する。受け取った女性派遣側はホテル、集合住宅の一室などでの「デート」を設定する。

米国司法当局によると、犯罪組織は3万件もの顧客情報を所持しており、それぞれ「デート」に関する詳細な情報を記録していた。

FBIの捜査協力のもと、カナダのトロント警察は1月17日、チェン・ゾンタオを人身売買容疑で逮捕した。カナダ衛星テレビ局CP24によると、米国司法当局はチェンの身柄引き渡しを求めている。

2018年11月18日オレゴン州ポートランド大陪審が作成した、売春ネットワークに関わる中国系の容疑者に対する起訴状の1ページ目。
2019年1月16日米司法省は開封を発表した(www.justice.gov)

ポートランド大陪審が2018年11月に発布した起訴状によると、チェンを含む犯罪組織構成員は「闇商売企業の推進、管理、設立、継続、促進のための陰謀」容疑で起訴されている。

国をまたいで活動する構成員はそれぞれ中国で、売春のための女性を雇用する係、金銭管理係、海外での女性派遣係、「売春宿」となるモーテルやアパートの運営係などを務めた。

ポートランド現地紙オレゴニアンは1月17日付、捜査官の捜査令状を引用して「デート」現場となったアパート一室の詳細を記述した。部屋は「雑然とした室内装飾で、ベッドはタオルで覆っているだけ」だった。

FBIは、このチェンの犯罪ネットワークによる人身売買の被害者5人を保護した。同紙によると、売春に従事した匿名の女性は捜査官に対して「顧客が現れたらただドアを開けて、言われたことを何でもする」と語ったという。

ポートランド大陪審の起訴状によると、オレゴン州連邦検察官ビリー・ウィリアムズ氏は「脆弱な立場の外国人を利益のために利用する、悪質な人身売買業者を取り締まるのは、重要な法執行機関の任務だ」と書いた。

(文=フランク・ファン/編集・佐渡道世)

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