2月4日、旧正月の休暇シーズンを迎えた中国では、都市部に務める地方労働者にとって面子維持のための高級品レンタルが人気だ。購入に踏み込めない景気減退の反映とも考えられる。
帰省者はカメラ、バッグ、時計、電子製品に至るまで、レンタル業者の手を借りて、社会的地位の誇示としての「富」を着飾る。
北京青年報は1月24日、レンタル専門サイト「3C」の創業者周曉東氏を取材。同サイトの売り上げは前年同期の2倍となったという。
高級品レンタルというビジネスに、多くの大陸中国人は共感を示している。「帰省中は元同級生や親せきの集まりに何度も参加しなくちゃいけない。良い格好が必要になる。でも買うまでもない」北京の会社員劉さんは同紙に語った。
そこで、劉さんは市場価格1万元(16万円)のカバンを、一日50元(800円)の使用料で借りた。
最近、複数の中国メディアが、中国SNS微信に掲載された記事を転載している。仕事を数カ月前に解雇された北京の30歳女性は、失業したことが両親に知られないよう、旧正月の帰省前に市場価格10万元(160万円)のハンドバックをレンタルした。
レンタル需要の高まりから、所有する高級カバンを貸し出す個人もいる。四川省成都で働く張さんは、現地紙・四川網の取材に対して、1万元で購入したカバンをレンタルサイト「百格包包」(bgbaobao)に出品し、一週間で100元(1600円)貸出料を付けた。
「多くの女性はカバンを持っているけど、クローゼットにしまいっぱなしで、中には未使用のものもある。未使用品をネットで中古販売しても、購入価格からは非常に低い値段になるため、とても損をする」「レンタルサイトは、節約にもなるし、ほんの少しのお金で、色々なバックを楽しめる」と張さんはそのメリットを語った。
1月26日、官製メディア春城晩報は旧正月の特別評論で、友人や家族の前で自慢するために、購入品ではなくレンタル品を利用することを批判した。
当局がこうした経済効果の著しくない民間事業を叩くのは、経済の低迷を反映していると考えられる。2018年のGDPは28年間で最低の成長ペースである6.6%と発表されたが、経済専門家は数字が操作されたものであり、実際は相当低いと指摘している。中国人民大学の向松祚教授は同年12月同大学での講演会で、GDPは1.67%か、またはマイナスの可能性もあると話した。
中国求人サイトでは企業の求人が減り、2018年11月当局は740万人の地方出身者の帰郷を指示した。アリババ集団や京東、華為科技(ファーウェイ)、小米、滴々行来など大手IT企業も人員削減を計画し、失業率の上昇が見込まれる。
(編集・佐渡道世)