河南省鄭州市に本社を置く食品メーカー、三全食品が生産する豚肉入り冷凍水餃子から、アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルス遺伝子が検出されたと中国紙、新京報が15日に報じた。また、他の豚肉加工品メーカー10数社の製品からも同様の結果が出たとのネット情報が広まっている。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)広東語電子版が17日、情報筋からの情報として、甘粛省農業庁が同日の内部通達で、「上海国福龍鳳食品」「科迪食品集団」を含む中国の有名食品加工企業10数社の40ロットの製品からASFウイルス遺伝子を検出したと注意喚起した。この10数社が販売する豚肉加工品は全国市場シェアの5割を占めるという。
また、仏国営放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)16日付の報道では、甘粛省当局が、省内蘭州市や武陵市など各市で販売される豚肉加工品大手11社の製品を対象に、40ロット計83のサンプルを取り、ASFウイルス遺伝子検査を行ったことが明らかになった。
情報筋はRFAに対して、「状況が深刻だ」と話した。ウイルスに汚染された食品は肉団子、餃子、ソーセージなどがある。流通範囲は中国東部沿岸部から内陸の甘粛省まで広がっている。
また、この情報筋によると、検査結果は、今ネットユーザーによって流出している。三全食品の冷凍水餃子に関しても、食品監督管理機関に勤務するネットユーザーの投稿によって、明るみに出たという。中国当局は現在、検査結果を公表していない。この情報筋は「非常に無責任だ」と国の対応を批判した。
中国医療機関関係者は、当局の養豚農家に対する救済措置が不十分なため、ASF汚染が広まったと指摘した。農家は損失減少のために、問題のある豚肉を加工品会社に卸している。これに対しても、「中国当局は見て見ぬふりをしている」。
RFAの報道によれば、昨年8月遼寧省瀋陽市で1例目となるASFの発生後、中国当局は1頭につき1200元(約1万9572円)の補助金を農家に支給している。しかし、一部の地域では補助金の支払いが滞っているという。
現在、中国の25省でASFの発生が確認された。
(翻訳編集・張哲)