印でボイコット・チャイナ拡大 パ武装勢力の国連制裁反対で

2019/03/19 更新: 2019/03/19

インドでは中国製品のボイコット運動が拡大している。国連安全保障理事会で、中国代表団がパキスタン武装勢力の制裁要請を拒否したためだ。インド政府は、テロ組織の活動を容認する中国側の姿勢に「失望した」と述べている。

3月13日、国連安保理の米国および英国代表団は、印パ関係の緊張を引き起こすきっかけとなるテロ攻撃を指揮した、マスード・アズハール(Masood Azhar)氏を、国際テロリスト名簿に加えるよう要請した。しかし中国代表団が拒否したことで、制裁案は見送られた。

国連がテロ組織として指定するカシミール拠点の武装組織ジャイシュ=エ=ムハンマド(Jaish-e-Mohammed、JeM)を創設したアズハール氏に対して、制裁案が提起されたのは4度目。しかし、中国代表団はすべて反対票に投じ、要請は保留状態にある。

インド政府は同日、テロ資金を断絶するための取り組みへの妨害だとして、中国側の姿勢に「失望した」と述べた。

JeMは2月14日、インドと国境を接するカシミール地方で自爆テロを起こし、少なくとも40人の軍事警察を殺害したと発表した。事件により印パ関係の緊張は急速に高まった。

インドの専門家によると、中国政府は資金や武器、技術力でパキスタン武装組織を支援するだけでなく、この武装組織を支えるパキスタン軍とも協力していると主張する。

中国政府による制裁拒否の後、インドで7000万人の貿易業者を代表する商業組合・全インド貿易(All India Traders)は3月19日、中国製品の取引停止を加盟組織や個人に呼び掛けた。組合は、中国製品をボイコットする全国的なキャンペーンを開始し、貿易業者が中国製品を売買しないよう求めている。

インドのソーシャルメディア(SNS)利用者に、組合に対する多くの共感メッセージが寄せられ、運動への加勢を示した。SNSでは「ボイコットチャイナ(#BoycottChina)」「中国はテロリスト支援(#ChinaBacksTerror、#ChinaSupportsTerrorism)」などのタグが多数使用されている。あるSNSユーザーは、製品バーコードから、中国製であることがわかると解説を付けた。多くのネットユーザーは、中国製品の代替として日本、台湾の製品を買うよう勧めている。

インドの最大貿易相手国は中国であり、スマートフォンなどの電子機器、製薬・医薬品、さらに電力の30%を中国からの輸入に依存している。いっぽう、中国の対インドへの輸出は全体の2%にとどまっている。

インド紙エコノミック・タイムス3月14日は、中国製品ボイコットは、短期的には期待される効果は見えないが、長期的には、中国のテロ支援に対する姿勢を国際世論に訴えかけることで、欧州やアフリカなどの市場を探る中国企業の評判に打撃を与えるだろうと評した。

(編集・佐渡道世)

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