元米軍高官が声明、同盟国のファーウェイ5G参入容認に懸念

2019/04/04 更新: 2019/04/04

米軍元高官6人は3日、共同声明を発表し、米の同盟国が次世代通信規格(5G)通信網に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の技術と設備を導入することに懸念を示した。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が4日伝えた。

声明は、「世界各地で米軍および同盟国軍の指揮を執ったわれわれは、同盟国に中国当局が開発した5G技術が広く使用されることを強く危惧している」とした。

声明を発表したのは、元駐欧州米軍司令官で退役海軍大将のジェームス・スタフリディス氏(64)、元駐欧州米空軍司令官で退役空軍大将のフィリップ・ブリードローブ氏(63)、元米太平洋軍司令官で退役海軍大将のサミュエル・ロックリア氏(64)、元米太平洋軍司令官で退役海軍大将のティモシー・キーティング氏(70)、元米国家情報長官で退役空軍中将のジェームズ・クラッパー氏(78)と元米サイバー軍司令官および元米国家安全保障局長官で退役陸軍大将のキース・アレクサンダー氏(67)の6人。

元高官らは、「スパイ活動」「将来の軍事行動」「民主主義および人権」の3つの面で懸念を示した。

「スパイ活動」では、元高官らは2017年に成立した中国の「インターネット安全法」を挙げ、中国当局がファーウェイの設備と技術を応用した5G通信網を通じて、簡単に各国の重要なデータを取得できる、とあらためて強調した。

元高官らは「将来の軍事行動」に関して、中国当局の脅威を警告した。5Gは現在の4G通信網と比べて、より高速で大容量の情報を送受信できるため、「米軍が今後の軍事活動において、同盟国軍との情報共有は5G通信網に頼らざるを得ないだろう」と指摘した。

元高官らは「同盟国や他の友好国が、ファーウェイの5G通信設備を利用すれば、米軍は軍事データが盗み出され、情報が操作され、さらに情報交換中に送受信が中断されるというリスクもある」との見方を示した。

「将来の軍事行動だが、今対応措置を取らなければならない」

また、元高官らは、5G通信網がいったん構築されると、変えることは難しくなるという。「中国企業のシステムは他の企業の設備と互換できないため、中国企業のシステムを使い始めると、今後の5G通信インフラ整備においても中国企業に依存するしかない」

6人の元米軍指揮官は、ファーウェイの5G技術を導入すれば、中国当局は同盟国の数十億人の「SNS上の投稿、医療サービス、位置情報、消費、支払い情報」など、さまざまな個人情報を入手できると警告した。

この膨大な情報に基づき、国際社会における中国当局の影響力と支配力が空前絶後の状況になる可能性がある。中国当局はこの影響力を行使し、同盟国に対して、世界各国の人権活動家や反中国共産党政権の活動家を弾圧するよう圧力をかける可能性もある。同盟国の自由民主主義制度と人権が危機的な状況に陥る。

米軍の現高官も同様に警戒している。米国防省のエレン・ロード次官は3月末、米シンクタンク、大西洋評議会(Atlantic Council)で講演した際、同盟国などがファーウェイ技術を導入すれば、「重要情報の共有について再検討する必要がある」と述べた。

米軍トップのジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長も3月末、米下院軍事委員会の公聴会で、米同盟国が5G通信インフラ建設にファーウェイの参入を認めると、米国家安全保障は「より広範囲で、より根本的な」脅威に直面すると述べた。

現在、欧州のポーランド、ドイツ、エストニア、アジアのインドネシア、シンガポール、フィリピンなどの国が、5G通信網にファーウェイの参入を容認する姿勢を示している。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: