中国電子商取引大手、京東集団(JDドットコム)創業者で最高経営責任者(CEO)の劉強東氏は15日、配達部門の社員宛てにメールで公開書簡を送った。書簡は、同社傘下企業の京東物流について、「昨年28億元(約467億3200万円)の赤字を計上し、12年間連続の赤字だ」と指摘した。劉CEOは、経営を立て直すために社員の賃金調整に言及した。
中国メディアが掲載した書簡によると、京東物流は2018年の赤字総額が23億元(約383億8700万円を上回り、12年間連続の赤字決算となった。さらに、内部決算(京東小売業務からの内部受注)を除くと、京東物流は昨年28億元の赤字になる。赤字の主因は、「外部からの発注量が少なすぎ、内部コストは高すぎる」ことだという。
劉CEOは書簡のなかで、「このまま赤字が続くと、京東物流が調達した融資は2年間の赤字しか補てんできない」と経営破綻の可能性を示した。
劉CEOは、「収益を増やし」「京東物流が生き延びる」ために、配送員の基本給を廃止すると同時に、荷物配達件数に応じた歩合給を増やすことを決定したと示した。配達員の荷物配送件数拡大を狙うという。
中国メディア「21世紀経済報道」によると、京東物流は過去10年間の赤字額が300億元(約5007億円)に達し、京東集団全体の業績に打撃を与えたと報道した。いっぽう、一部の配送員は、基本給廃止と配達件数の増大について、「仕事量は増えたのに、給料が少なくなった」と反発した。
今年2月、京東集団が年内に上級幹部の10%を削減するとの報道があった。ロイター通信は今月9日、京東集団は1万2000人の社員を対象にリストラする計画だと報じた。全社員の8%にあたる。劉CEOの内部書簡は、同社が厳しい経営環境にあることをあらためて浮き彫りにした。
京東集団の内部情報を入手した中国メディア「全天候科技」15日付によれば、同社の大規模な人員削減について、1人の高級管理職は「この数日ずっと眠れなかった」と訴えた。また、ある社員は、「劉CEOが社内すべての部門の責任者、各レベルの幹部と面談した。ある部門の責任者が劉CEOと面談した後、その部門自体が消滅した」と述べた。
中国国内のセルフメディアはこのほど、京東集団の元社員がリストラされた後、住宅ローン返済難のために自殺したと伝えた。京東集団側はリストラとの関連性を否定し、「うつ病を患っていた」とした。
(翻訳編集・張哲)