中国インターネット上ではこのほど、一般作業員用の安全ヘルメットは幹部が使用するものと比べて、強度が弱いと訴える動画が話題になった。動画をネット上に投稿した作業員はその後、職を失ったことが分かった。
4月11日、建築現場で働く男性作業員はネットで、「下っ端作業員の安全ヘルメット」と題する動画を投稿した。動画のなかで、男性は自身が使用するヘルメットと役人が使用するものを片手ずつに持ち、「どちらが頑丈かテストをやってみよう」と2つのヘルメットをぶつける実験をした。この結果、作業員用の黄色いヘルメットが一瞬で大破し、役人らが使うヘルメットは無傷だった。
この動画は瞬く間に注目され、1週間内に200万回再生された。作業員用安全ヘルメットの品質の悪さを批判する声が高まった。これを受けて、労災事故や自然災害など非常事態の対応にあたる中国の応急管理部(省)は17日、中国版ツイッターの微博で、「作業員のヘルメットが安全でないなら、生産活動における安全管理をどうやって実現していくのか」と非難の声明を発表した。
いっぽう、男性は動画を投稿後、「土建屋の親方から声がかからなくなった」と山東省農村部の実家に戻った。収入源がなくなった今、生活苦に陥っている。
報復されるのではないかと強い不安を持ち、自宅にこもり、毎晩眠れない状況だという。
中国人ネットユーザーらは、「(中国はまさに)真実を言うだけで命の危険にさらされる社会だ」「善良な人が生きづらい社会だ」「ヘルメットの品質を問題視した人がクビになったとは!」と男性のことを不憫に思っている。
男性は今年2月以降、安全ヘルメットの品質問題について、3回動画を投稿した。4月17日夜、過去の投稿を削除した。
中国紙・澎湃新聞によると、男性は「私は生きていかなければならない」と動画削除の理由を述べた。
(翻訳編集・張哲)