トランプ米大統領の元戦略首席補佐官であるスティーブン・バノン(Steve Bannon)氏はこのほど、香港メディアの取材に対して、トランプ政権の中国通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)への制裁措置を支持し、「ファーウェイは米国と世界各国にとって、国家安全保障上の重大な脅威だ」と述べた。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト22日付によると、対中超強硬派のバノン氏は同紙のインタビューに対して、米政府がファーウェイを念頭に実施した禁輸措置は、米中通商協議と比べて「10倍ぐらい重要だ」と話した。
「ファーウェイは、米国だけでなく世界の他の国にとっても、国家安全保障上の大きな脅威をもたらしている。われわれはこれを封じ込めなければならない」
トランプ米大統領は15日、行政命令に署名し、米企業が国家安全保障にリスクをもたらす外国企業の通信製品を購入することを禁止した。この直後、米商務省はファーウェイとその関連会社70社を、禁輸措置対象リストである「エンティティ・リスト」に追加した。
また、5月初めに行われた米中閣僚級通商協議が決裂して以降、新たな交渉のめどは立っていない。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)22日付によると、在米中国人学者の顧為群氏は、バノン氏の発言は、米中対立は貿易問題にとどまらずハイテク技術分野まで発展したことを反映した、と分析した。
「5G(次世代通信規格)通信網構築において、中国当局は多くの企業、特にファーウェイを通じて、世界市場でリーダー的な存在となった。中国当局は通信技術で、世界の勢力の構図を変えようとしている」
顧氏は、米政府の禁輸措置の真の狙いはファーウェイではないと指摘した。ファーウェイと中国当局は緊密な関係にあるため、禁輸措置の狙いは「中国当局と中国共産党内の既得権益集団に包囲網を張ることだ」
米政府による中国に対する包囲網は拡大している。
米紙ニューヨーク・タイムズは21日、米政府はファーウェイに続き、中国監視カメラメーカーの杭州海康威視数字技術(Hikvision、ハイクビジョン)を「エンティティ・リスト」に入れることを検討していると報道した。
また、ブルームバーグ23日付は、トランプ政権はハイクビジョンを含む中国監視カメラメーカー5社を禁輸措置対象にする意向があると伝えた。
中国金融学者の賀江兵氏はRFAに対して、米中貿易戦が米中ハイテク戦に変わったことは「中国当局にとってまずい」と述べた。「中国当局は、貿易戦で米国に反撃することができても、ハイテク戦ではまったく歯が立たない」と、中国製造業やIT企業が米技術に強く依存している現状を指摘した。
一方、バノン氏は4月25日ニューヨークで開催された「現在の危機に対応する委員会:中国」のセミナーで、「そもそもファーウェイ自身が中国軍の一部だ」と発言した。
(翻訳編集・張哲)