米国に亡命した中国海軍司令部元参謀(中佐)の姚誠氏は5月31日、大紀元のインタビューを受けた。かつて中国軍のスパイだった姚氏は、中国当局が主導する各国への技術窃盗に触れ、また軍内の諜報組織や元軍人らによる抗議活動について話した。
(前文に続く)中国海軍元スパイ、共産党政権の技術窃盗は「軍事競争で勝つため」=インタビュー
各国を抱き込む工作機関
姚誠氏はインタビューの中で、中国情報機関内の秘密組織に言及した。欧米諸国の政治家は、中国人の工作員からの接近に注意するよう警告した。
姚氏によると、中国軍総政治部傘下の連絡部が諜報機関の1つで、外国政府および影響力のあるエリート(実業家、芸術家、社会活動家など)やその交友関係をターゲットに浸透工作を行っている。この連絡部は外部に対して、「中国国際友好連絡会」(China Association for International Friendship Contact)という組織名を使っている。
この組織の工作員は、各国政府の高官らと個人的に密接関係を築き、丸め込もうとする。目的は、各国の高官や有名人を中国当局の支持者にし、可能であれば中国当局に機密情報を提供するように仕向けることだ。
「元軍人の抗議に現役将校ら関与」
姚誠氏は、近年中国各地での退役軍人による大規模な抗議活動は中国当局にとって最も不安視している問題だと指摘した。中国の退役軍人の数は4700万人にのぼる。
1985年に行われた軍の人員削減で、少なくとも100万人の軍人が退役させられ、地元に帰った。一部の元軍人は工場で働くことになったが、一部の元軍人は就職先を見つけるのに苦労していた。しかし、過去20年間、中国の民営企業が次々と倒産するにつれ、多くの元軍人が生活苦に陥った。
「元軍人らは、待遇改善を求めて、地方政府に対して陳情してきた。しかし、いずれも武装警察によって鎮圧された」
2016年10月、元軍人ら数千人が北京に集まり、中央軍事委員会と国防省が入るビル、「八一大楼」の前で抗議デモを行った。「当時、中国当局はなぜ各省の元軍人が上手く連絡し合って協調できたのかを不思議に思ったらしい」
数カ月後の2017年2月、数百人の元軍人は再び北京市に入り、党員の汚職などを取り締まる中国共産党中央規律検査委員会の前で抗議活動を行った。
姚誠氏はこの2回の抗議活動の背後に、現役将校らの関与があったと述べた。
「習近平国家主席の反腐敗運動によって、軍内の多くの高官が失脚した。残った将校らは意気消沈したが、元軍人の陳情活動を利用して捲土重来を図った」
「彼らは、元軍人の抗議を通して、最高指導部に対して『軍に対する反腐敗運動を継続するなら、軍上層部は必ず報復する』というシグナルを送った」
一方、姚誠氏によると、今現在、数多くの元軍人は中国共産党政権の本性を見抜いている。「将来中国当局と台湾との間で戦争が起きれば、退役軍人は民兵組織として、中国内部から台湾軍を支援し、共産党政権を崩壊させたいと考えている。彼たちは本当に、この日が一日も早く来るよう望んでいる」
(おわり)
(翻訳編集・張哲)