欧州委員会は17日、2018年度の「貿易・投資に関する年次報告書」を発表した。報告によると、欧州連合(EU)の国際貿易のなかで、最も障壁を設けているのは中国だという。
2018年、EU以外の国が、EU加盟国との貿易を制限する措置は合計425件が確認されており、過去最高となった。このうち中国は、EU加盟国との国際貿易の障壁を最も多く維持しており、37件の中国当局の貿易措置に「問題あり」とした。ロシアは34件と第2位に付けた。
報告によると、2018年、EU加盟国との取引の障壁となる制限が45件追加され、中国はそのうちの4件。これにより、EU貿易には257億ユーロ相当の影響が出ると推計されている。
EU企業にとって、中国は重要な市場だが、過度な貿易のゆがみと市場アクセスの障壁は、長年にわたりEUと中国の貿易関係に深刻な影響を及ぼしてきた。
報告内の中国部分には、政府からの大規模な公的助成金、強制的な技術移転、鉄鋼やアルミニウムなどの過剰生産、企業に情報提供を要求するサイバーセキュリティ法など、複数の懸念を列挙した。
報告によると、中国共産党政権は、産業政策である「中国製造2025」戦略を実現させるため、ハイテク産業にさまざまな貿易制限を導入し続けている。
報告によると、中国が設けた情報通信技術や電子産業の輸入規制により、249億ユーロの貿易フローが影響を受けたという。
さらに、中国当局は2017年12月と2018年5月に、塩業独占規制を改定した。中国当局はすべての塩の海外輸入を禁止し、さらに指定された塩卸販売企業のみが中国で塩を販売できるとしている。外国企業による販売が許可されるかどうかは不明。
ほかにも、中国はEU加盟国の食品加工関連機器や農産物に対しても貿易障壁を設けているという。
セシリア・マルムストローム(Cecilia Malmstrom)EU貿易担当は、「多くの国際的な貿易は緊張と保護主義的措置にある。EUは世界市場における企業の利益を守り続けなければならない」とコメントしている。報告書は、持続的な貿易のために、世界貿易機関(WTO)のルール見直しを提案している。
(翻訳編集・佐渡道世)