台北市で23日、中国共産党政権によるメディアの浸透に抗議するデモが行われた。数万人が参加したと主催者側は推定した。
「赤色メディアにノー」「台湾の民主主義を守ろう」「赤色メディア、台湾から出て行け」と叫びながら行進する参加者。雨にも関わらず台湾各地から駆けつけた参加者や、子連れで参加する市民の姿があった。
デモの発起人はネット有名人の陳之漢と、台湾独立派政党「時代力量」の立法委員(国会議員相当)黄国昌の両氏。両氏は台湾の民主主義が共産党政権の浸透工作の脅威にさらされていると懸念を示した。フェイクニュースによる統一戦線工作に嫌気がさし、良識を売ってしまったメディアにもう我慢できない市民に「赤色メディアにノーと言おう」と呼びかけた。
デモに参加した台湾の国会観察文教基金会会長の姚立明氏は「敵国に油断していた」とし、中国当局が台湾の自由を利用して、多くのメディアを買収したと述べた。「買収された高雄のラジオはコマーシャルで中国の歌を流していた」と憤慨した。
共産党色に染まった赤色メディアが成功すれば、「失ったものは二度と手にすることのできない自由です」と姚氏は危機感をあらわにした。「これ以上の浸透を絶対阻止したい」。姚氏は「今後、親共産党メディアの取材を受けない」と明言した。
2008年、民進党の陳水扁氏が台湾総統選を制し、中台統一を主張する国民党が大敗を喫した。これをきっかけに中国共産党政権は台湾メディアに対する浸透工作を強化した。中国との関係が深い台湾一の富豪、旺旺集団の蔡衍明会長は204億台湾ドル(約703億円)で、中國時報、工商時報、時報周刊、中天テレビおよび中視などのメディアを買収し、台湾メディアの構図は大きく変わった。
香港の「逃亡犯条例」改正に反対するデモの報道で、台湾メディアのカラーははっきりと分かれた。中天テレビが、香港デモを支持するニュースを一本も放送しなかったことは物議を醸し出した。
(翻訳編集・李沐恩)