2020年米大統領選で民主党候補はフロリダ州マイアミで6月26日から27日かけて、テレビ中継の公開討論会が開かれた。初日に出演した10人のうち、「米国の最大の脅威」は4人が「中国」と回答した。
候補者の一人、ティム・ライアン氏は「疑いようもなく、中国は最大の脅威だ。世界各地の経済を破壊している」と述べた。このほどの大統領選挙に向けて、民主党は26人が候補者として名乗りを上げている。
米政府系ボイス・オブ・アメリア(VOA)によると、候補者のなかで支持率上位の上院議員のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)氏とエリザベス・ワーレン(Elizabeth Warren)氏は、対中関税引き上げを支持している。
サンダース氏は6月24日付フォーリン・アフェアーズ誌の寄稿文で、中国共産党は自国での政治的自由を抑制しながら、海外では中国式の「独裁資本主義」を推し進めていると批判した。
ウォーレン氏は、「トランプ政権が科した対中関税は、貿易政策の再構築の一部だ」と考えている。同氏は、適切な貿易関税は、米国の労働者権利の保護になるとの見方を示した。また、中国は、自身の利益のために新しい国際秩序を作り出そうとしていると主張した。
ウォーレン氏の見方には昨年より変化が生じている。2018年にウォーレン氏が訪中した時、中国側に「米国の(強硬)対中政策は間違いだ」と公的に批判した。民主党は長らく、自由経済の継続が中国の民主化を後押しすることができると信じている。
しかし、今年には入ってウォーレン氏は意見を転換させた。「米国は目覚めた。中国が米企業に対して、知的財産権を放棄するように要求したのは驚きだ」と語っている。
新進精鋭の候補とされるインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg)氏は、対中関税には否定的だが、中国の海外における経済は独裁資本主義と批判している。
他の多くの候補者も、米国の知的財産権の窃盗について対応策を打ち出している。黒人女性候補のカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員は2018年末、米国の営業機密を盗む外国の個人または団体を処罰する権限を検察官にあたえるため、議会で経済スパイ法可決を推進していた。
ハリス氏は「中国は海賊のようにふるまっている」と議会で発言している。
しかし、専門家は、民主党候補者は公式ウェブサイトで掲げる主張の中で、いずれも中国に関する言及は少ないと指摘する。ニューヨーク市立大学政治学講師ピーター・ベイナート氏はアトランティック誌発表文章で、民主党の候補者が地域公民館で開いた多くの演説を分析すると、中国や華為技術(ファーウェイ)に関する発言はほとんどないと指摘した。
候補者は、支持者の関心に合わせて議題を掲げている。ベイナート氏によると、民主党支持者は国民皆保険、大学など教育無償化、気候変動、中絶容認に関心が高いため、候補者もこれらに合わせているのではないかと分析している。
6月26日から27日にかけて行われた民主党の大統領候補者による討論大会の後、米CNNは各氏支持率を7月1日に発表した。その結果、ジョー・バイデン前副大統領が22%で1位、カマラ・ハリス氏が17%で2位、エリザベス・ワーレン氏は15%で3位につけた。
(編集・佐渡道世)