5日中国上海外国為替市場とオフショア市場では、人民元相場が対ドルでそれぞれ1ドル=7元の心理的大台を下回った。11年5月ぶりの元安・ドル高水準となった。この影響で、欧米主要株式市場は大幅の値下がりした。中国当局は、米の関税措置に対抗するための元安容認姿勢が鮮明となった。米財務省は同日、中国を「為替操作国」に認定したと発表し、今後経済制裁を強化していくとした。
北京時間5日午前9時16分ごろ、オフショア市場では、元相場が対ドルで1ドル=7元台に下落し、一時1ドル=7.1114元まで元安・ドル高が進んだ。9年ぶりの安値となった。
オンショア市場の上海市場では、同日朝取引が開始した直後に、元は対ドルで急落した。一時1ドル=7.0532元台につけ、2008年3月25日以来の安値となった。
一方、中国人民銀行(中央銀行)はこの日、元の対ドルでの基準値(中間値)を1ドル=6.9225元に設定した。先週末の基準値と比べて、0.0229元の元安・ドル高水準で、基準値として8カ月ぶりの低水準。
香港紙・香港経済日報5日付によると、市場関係者は、大幅に元安水準と設定された基準値から、米の制裁関税に対抗して、輸出に有利にするためにさらなる元安を容認するという中国側の姿勢が明らかだと指摘した。一部の市場関係者は、今後元相場が1ドル=7.2台まで下落すると予測する。
トランプ米政権はこのほど、9月1日から3000億ドル分の中国製品に10%の制裁関税を課すと発表した。この「対中制裁第4弾」によって、ほぼすべての中国製品に追加関税対象となった。
急激な元安を受けて、トランプ米大統領は5日ツイッターで、「中国は人民元レートをほぼ史上最低の水準まで下落させた。これは為替操作だ」「これは重大な違反行為で、中国をいずれ著しく弱体化させることになる」と厳しく批判した。
米財務省は同日、中国を「為替操作国」に指定した。同省がウェブサイトに掲載した声明によると、ムニューシン財務長官が「中国は通貨操作国である」と決定した。今後、長官は国際通貨基金(IMF)と協力し、中国による不公正な競争優位を排除していくという。
一方、元相場が1ドル=7元台を割り込んだことに、欧米金融市場の動揺が収まらなかった。5日の米株式市場で主要株価指数のダウ工業株30種平均は前週末と比べて767ドル安となった。今年最大の下落幅だ。ロイター通信によると、欧州株式市場も2カ月ぶりの安値を付けて5日の取引を終えた。欧米各国の投資家の間では米中貿易摩擦がさらに激化するとの不安が広がっている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国当局の元安容認は、今後一段の元安や海外への資金流出の加速化を招くため、中国にとって「自傷行為」だと警鐘を鳴らした。
(翻訳編集・張哲)