江蘇省南通市のある村には、毎日、何トンもの病死したブタの死骸が埋められている。住民たちは、強烈な腐臭で「食事も喉を通らない」と、生活に困難をきたしている。何百人もの住民が、ブタの死骸を運ぶ車両がこれ以上入らないよう、抗議活動を始めた。
同市の如東県豊利鎮にある路環漁村の政府は、村の北部にある干潟に35万頭以上の死んだブタを埋めている。プラスチック製の保護カバーで覆われていたが、腐敗したブタからメタンガスが発生し、カバーははがれ、しだいに悪臭を放っていっている。
大紀元の記者の取材に答えた住民によると、死んだブタの「埋葬計画」について、村政府は何ら住民に伝えなかったという。地元役人の話によると、約35万頭の死んだブタが、1カ所あたり4~5メートルの深さの墓穴に、30~40カ所に分けて埋められたという。
村民は、死んだブタが道路わきに放置されたままでも、処置することはなく無頓着だった。しかし、無数のブタの死骸が埋められると、村全体が悪臭に覆われた。40代の住民は「これほど臭い匂いは経験したことがない。嘔吐ばかりして食事を取ることもできない」と述べた。
別の住民によると、もはや穴に入れるのではなく、トラックで運んできたブタの死骸を草むらに放置していくという。「死んだブタは腐敗が進み、プラスチックの覆いは古くなっていく。ガスが爆発するかもしれない」と懸念する。
村人たちは自発的に、24時間の交代制で、死んだブタを運ぶトラックを止める見張りを行っている。さらに、各級政府に対して請願を始めた。
8月19日、地方政府の農業局職員と住民は会議をした。そこで、死んだブタをこれ以上埋めないことを約束した。また、埋めた地域に 2.8メートル高さの壁を設置、臭気の拡散の低減、下水に流れないように血液の吸収、水質モニタリングと結果の公表を約束した。住民の理解が得られるまで、村民による監督も了解した。
しかし、地方政府はこれらの約束を果たさなかった。住民のインタビューによると、警察は住民を呼び出して恫喝しているという。8月20日、若者の住民が埋め立て地をドローンで撮影したところ、警察がドローンを押収したが、抗議を受けて、後にドローンは住民の手に戻った。
8月21日、一部の村人は道路で住環境の保護を訴える横断幕を掲げ、デモを行った。住民によると、多数の治安部隊と特別警察が現場に駆けつけ、武力鎮圧をちらつかせた。役人は村民を説得し、デモを解散させたという。
ある住民は、抗議者が立ち上げたグループチャットで次のようにメッセージを送った。「埋め立て地に覆いや囲いが建てられることはない。何の動きもない。ただ臭い。警察は何のためにパトロールしているのか?(訳注:警察が抗議者を抑圧している)また、64事件が発生するのか?住民が連行されるだけだ」
江蘇省の地元メディアも、今回の腐臭騒動を一切取り上げていない。
路環漁村はバナメイエビの養殖が盛んで、約49万平方メートル(東京ディズニーシーの面積に相当)の海洋でエビを養殖している。また、海苔は年間コンテナ10万ケース分を生産し、日本や韓国に輸出している。