8月25日、安倍首相とトランプ米大統領はフランス・ビアリッツで2国間会談の後、共同記者会見を開き、米国産の飼料用トウモロコシを日本が購入すると発表した。中国は、米国トウモロコシの輸入に合意しながら実行せず、対米貿易の「交渉カード」としてきた。大紀元コメンテーターは、日本の決定により、中国の主要なカードを失わせたと分析する。
トランプ大統領は会見で、「中国は(輸入)すると言っていたことをしていない」と中国の米国農作物の購入の不実行を批判。米国ではトウモロコシの余剰があり、安倍首相による日本の購入決定に謝意を示した。
農林水産省によると、今回の購入決定分は、日本の年間必要量のうち、予定する輸入分を前倒しして確保する見通し。2018年度の飼料用トウモロコシ輸入量は約1100万トンで、米国産が9割を占める。
トランプ政権は2018年、中国共産党政権による知的財産窃盗と不正な輸入慣行に対応して、懲罰的な関税をかけた。中国は応酬として、米国農産物に報復関税をスタートさせた。以後、中国向け米農産品の輸出が急減した。
トランプ米政権は8月25日、基本合意した日米貿易交渉で、農畜産品の関税引き下げが70億ドル(約7300億円)の市場拡大効果を生むと主張した。米農畜産事業は、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱により日本市場でカナダやオーストラリアに抑えられ劣勢が続いていた。この基本合意で、日本の米農産物への関税はTPPと同等水準になる見込み。
大紀元コメンテーターの唐靖遠氏は、2020年大統領選に先駆けて、中国共産党政権は米農家の世論を操作するために『トランプによる貿易戦で米国農業がだめになる』とプロパガンダを広めているとした。宣伝は、米地方紙に折り込まれた中国官製紙に描かれている。
唐氏は、中国政府の貿易交渉担当者は、米政府の譲歩を引き出す条件として、「米国の農産物の大量購入」というカードを言葉だけでその可能性を見せてきたという。しかし、トランプ大統領が述べたように「余剰分をすべて日本が買う」といった日本の決断により、中国の交渉カードが一つ失われた。
米保守系テレビ局FOXニュースでは、安倍首相が米国産の余剰トウモロコシ購入を決定したとの報告を受けて、日本および日本製品を支持するコメントが6000以上も書き込まれた。
「日本との取引は嬉しい事だ!(中国との)貿易交渉でも助け合える。日本はグレートな同盟国で、米国は日本と共に立ち上がろう」「中国と取引がなくなっても、日本の良質な製品が入るのがいいぞ」「日本の良質な機械製品を知っているだろう?私はそれらを市場に取り戻したい」「日本は偉大な人々による偉大な国だ。私たちは一緒に立ちあがるべきだ。もし中国が不正をしたなら、彼らは永遠に優位に立つことができないだろう」
(編集・佐渡道世)