米豪、レアアース共同開発15プロジェクトを発表 中国依存脱却へ

2019/09/05 更新: 2019/09/05

オーストラリア政府は9月3日、米国防総省の協力を受けて、複数の鉱業・金属会社による総額414億円のレアアース採掘計画を発表した。世界のレアアース採掘量は中国が7割を占める。米中貿易戦の収束めどがつかないなか、米国は中国依存から脱却し、レアアースのサプライチェーン確保を目指している。

同計画では、米国防総省はオーストラリアと共同して、軍事やハイテク産業に欠かせないレアアース生産拠点を15カ所設ける。アンチモン、マグネシウム、タングステンなどの重要な鉱物が対象となる。

リンダ・レイノルズ豪国防相は同日の記者会見で、この米豪共同計画について「今の地政学的な逆風を考えると、私たちが安定した供給源を持つことが不可欠だ」と述べた。

同氏によると、現在のところ、オーストラリア政府が投資する計画ではない。レアアース関連事業にとって、政府政策に友好的な企業と協力をしているとした。

レアアースは、携帯電話から戦闘機に至るまで、ハイテク製品や軍事製品の多くに使われている17種類の鉱物の総称。米商務省が2016年に実施した調査で、米国防総省から受注する企業の大半が、レアアースを輸入している。

5月、複数の中国官製メディアは、中国政府がレアアースを対米貿易交渉のカードとして使う可能性があると報じた。これを受けて、中国産レアアース価格は高騰している。

トランプ大統領は7月、米国防総省に対して、レアアース入手源に関する新たな方法を開発するよう直接指示した。

ロイター通信によると、米国が2014〜17年に輸入したレアアースの80%を中国が占める。米国防総省2018月10月の報告によると、中国が市場を支配するレアアース市場に翻弄されかねないとして、西側自由主義諸国が確保できる供給源の開拓を急ぐ必要があると警鐘を鳴らした。

(翻訳編集・佐渡道世)

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