ソフトウェア開発者向けのソースコード共有サービス、米ギットハブ(Github)はこのほど、中国当局が3日、同社に対して、大紀元時報、新唐人テレビと法輪功情報を伝える明慧網の報道を削除するよう求めたことを明らかにした。同社が公開した文書によると、法輪功や香港デモに関する記事がターゲットになっている。
同社は5日、中国公安部サイバーセキュリティ保衛局が署名した要請書を公開した。
中国当局は、当局の弾圧対象である伝統気功グループ「法輪功」について中傷し、ギットハブに対して「添付リンク1に示された法輪功に関する情報を削除するよう」求めた。実際、このリンクをクリックすると、大紀元時報中国語版の国際ニュースが表示され、内容は香港デモに関する報道だった。
また同省は、「添付リンク2の関連情報を発信する者のアカウントを停止するよう」要求した。「リンク2」は、法輪功に関連する情報ではなく、大紀元時報や新唐人テレビなどが報じた中国共産党関連ニュースと、共産党関連組織の脱退に関する情報だ。
中国当局は、さらに「広範囲にわたって影響が出るようだったら、少なくとも中国国内のIPアドレスを利用するユーザーが、添付したリンク1に示された法輪功情報を見えないようにしてください」とギットハブに指示した。
法輪功は、1990年代に中国で流行した精神修養法。中国共産党は、当時の指導者である江沢民の指示によって、1999年に法輪功を禁止し、学習者が投獄、奴隷労働、拷問、さらには臓器の採取といった広範な迫害を受けている。
大紀元時報の黄万青・編集長は、中国当局による大紀元時報への嫌がらせと、法輪功学習者への迫害・誹謗中傷を強く非難した。
黄編集長は「過去十数年以来、中国で重大事件が発生すれば、当局はサイバー攻撃などを働き、いつも大紀元の報道を妨害してきた」と話した。このほど、中国当局の工作員らは、欧米各国に設置されている大紀元時報の新聞ボックスを相次いで破壊した。8月中旬、香港のセブン-イレブンは突然、理由を告げずに大紀元時報の新聞販売を中止した。
ギットハブは2016年6月8日にも、中国高官を「中傷する情報を削除するよう」に中国側に求められた。ただ、当時の申し入れは、中国の「国家インターネット情報弁公室」に所属する民間組織、「中国サイバー空間安全協会」が出したものだった。ギットハブはその3日後に中国側の要請書を公表した。
今回は公安省の傘下機関が提出した。大紀元時報が行う中国共産党政権の実態および香港情勢の報道に対して、中国当局が戦々恐々としていることを浮き彫りにした。
ギットハブが2008年サービスを開始して以降、一部の利用者は中国共産党政権の圧政を暴露してきた。米メディアは、中国当局が2015年3月26日、ギットハブへの大規模なサービス妨害攻撃(DDoS)を仕掛けたと報道。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは当時、中国当局のネット検閲の到達範囲が海外まで広がったと批判した。
今年4月3日から、QQブラウザ、微信(ウィーチャット)ブラウザなどの中国国内のウェブブラウザは、ギットハブに設けられた996.ICUプロジェクトのリポジトリを「危険なサイト」「違法なサイト」と設定し、中国人ネットユーザーの同サイトへのアクセスをブロックした。996.ICU は中国人プログラマーが、午前9時から午後9時まで、週6日勤務で働く過酷な労働環境を改善しようとして立ち上げたウェブサイトだ。
(翻訳編集・張哲)