中国当局の科学技術最高研究機関、中国科学院はこのほど、抗議デモ参加者を制圧するために使う世界初の携帯型音響兵器(Sonic weapon)を開発したと発表した。今後、量産を目指すという。香港問題などで中国国内に社会不安が広がるなか、当局はハイテク技術を駆使して共産党政権の維持を図ろうとしているとの指摘が出ている。
中国科学院傘下の理化学技術研究所(IPC)は9月18日、同ウェブサイトで伝えた。このニュースリリースによれば、IPCは国家重点の開発計画である「重度社会安全のための現場対処技術および装備の研究開発」を担っている。IPCは9月4日、同計画の一部である「警官用携帯型の低周波強音指向性分散の技術および装備の研究開発」に関する研究発表会議を北京で開催した。
IPCは、同技術の開発に「湖南省光兵器研究所、中国軍の陸軍専門医療センター、公安部第一研究所」も参加したとした。研究チームは、「低周波強音の生物学的効果の評価技術に関する研究にも成功した」とし、4日の発表でプロトタイプを公開した。専門家らは「早期に配備するよう」と提案した。
中国科学院も18日、世界初の治安維持用携帯式音波砲を開発したと公表した。
IPCのウェブサイト上では同ニュースリリースがすでに削除された。ただ、中国国内ポータルサイト「新浪網」では、中国科学院の発表とIPCの研究成果に関する報道が22日から掲載されている。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト19日付は、中国側が開発した携帯型音波兵器の外見は一般のライフル銃と似ていると報じた。デモ参加者を排除するために、低周波音波を投射するという。
研究チームの主任科学者、謝秀娟氏は同紙の取材に応じ、音波砲の一部の構造を紹介した。しかし、謝氏は同装置が使う周波数や使用用途についてのコメントを控えたという。
音響兵器で音波を投射することで、人の聴覚器官や脳にダメージを与え、行動と判断の能力を失うという。1940年代の研究では、低周波はめまい、頭痛、嘔吐、失禁、心臓病の発作、器官損傷などを引き起こす恐れがあると判明した。
新浪網22日付の同報道は、「(IPCの)科学者は、この装備によって、極度の不快感を招くほか、鼓膜、眼球、胃、肝臓と脳の震動という生物学的な効果を引き起こす可能性がある」ことを明らかにした。
在米中国時事評論家の鄭浩昌氏は、西側の一部の国の政府はテロ組織を取り締まるために音響兵器を使っているとした。「中国当局が音響兵器を開発したのは、国内政治・経済情勢と関係するだろう。中国当局は、ますます増える抗議者をハイテク技術で鎮圧するしかない」と指摘した。
「音響兵器は、被害者に外傷を与えることがなく、痕跡も残らない」と警官隊の心理的負担を減らす作用があると同氏は述べた。
(翻訳編集・張哲)