この3年間、台湾と国交関係のある国が7つ減少した。吳釗燮外交部長(外相に相当)は19日、台湾メディアの取材に応じ、台湾と断交した国のほとんどが「後悔している」と述べた。
呉外相は台湾と断交した国は「何も得られなかった」と5カ国の例をあげた。
赤道付近に位置するアフリカの島国、サントメ‧プリンシペは2016年、台湾に2.1億ドルの経済援助を要求したが、断られた。その時、中国が1.4億ドルの資金提供を約束し、サントメ‧プリンシペは台湾と断交し、中国と国交を結んだ。しかし、投資はいまも実現していない。
「台湾は同国でマラリア撲滅に取り組み、ほぼ成功していた。しかし、断交後、マラリアは再流行した」サントメ‧プリンシペ国内から台湾との断交を後悔する声が上がっているという。
2007年に台湾と断交したコスタリカでは、中国は当時、高速道路の建設に4億ドル投資すると約束し、着工式まで開催したが、10年経った今も計画は進んでいない。一方、中国と自由貿易協定(FTA)を結んだため、中国との貿易赤字は急速に上昇した。
マラウイも約束された中国の投資が宙に浮いている。現地住民は押し寄せてくる中国人に収入源を奪われたとして、反中デモを何度も行った。
「ドミニカ共和国とパナマからも断交を悔やむ声が聞こえてきた」と呉外相は述べた。ドミニカの高官は何度も訪中し、中国に農産品市場の開放を求めたが、取り合ってもらえなかったという。「わずかの国を除けば、ほとんどの国に対して中国は約束を果たしていない」
呉外相は台湾と、そもそも国交のないエクアドルにも言及した。中国の投資で中国企業が同国でダムを建設したが、稼働からわずか2年後、7000カ所以上のひび割れが見つかった。このダムの総投資額は約20億ドル(約2350億円)にのぼり、そのうち17億ドルが中国からの融資だった。
呉外相は中国の切り崩し策が成功する理由として、「中国が各国高官に直接、賄賂を渡している」ことを挙げた。
「一つの中国」の原則を認めない蔡英文総統が就任後、中国共産党政権は台湾の友好国に経済援助を約束し、台湾との断交を迫った。その結果、2016年にサントメ‧プリンシペ、2017年にパナマ、2018年にドミニカ共和国、ブルキナ‧ファソ、エルサルバドル、2019年9月にはソロモン諸島とキリバス、などの7カ国が相次ぎ、台湾との国交を断絶し、中国と国交を樹立した。現在、台湾と国交関係のある国は15カ国となり、アフリカではエスワティニ王国のみとなっている。
(翻訳編集・李沐恩)