英国で開かれたデコレーションケーキ国際大会で、香港民主派のデモ活動を表現するケーキが出展された。英BBCによると、この作品には中国出展者から苦情が入り、展示から取り下げられた。大会主催者に対して、中国政府に傾く政治検閲を受け入れたと批判的な声が、ネットで多数上がっている。
11月1日~3日まで英バーミンガムで開かれたケーキ国際展示会に、香港のカフェ経営店「3rdスペース」が、タワー型のデコレーションケーキで応募した。作品は5カ月間続いている香港デモを示す目的があるとした。
ケーキには匿名性を示すマスク、黄色いヘルメットをかぶりガスマスクを付けた黒い服の青年、色とりどりの傘、ドライアイスが溶けて出てくる白い煙は、街に立ち込める香港警察の放つ催涙ガスを表現している。背景音楽には、デモ隊のテーマソングである「香港に栄光あれ」をかけている。
BBCによると、このケーキ作品には「主催者側に中国のほかの応募者から多数の苦情が寄せられた」として、主催者は、同ケーキ作品の大会への参加資格を取り消した。
応募者の香港カフェ「3rdスペース」は、大会の主催者ケーキ・インターナショナルから11月4日、作品が「攻撃的な内容」であり、他の応募者の不快感を招いた」として、出展を取り下げたとの通知が届いたという。
この対応には、苦情が相次いだ。香港の民主派を支持するネットユーザーは相次ぎ、大会側の判断は「中国政府の検閲に屈した」と批判した。あるアカウントは、「何が攻撃的なのだろうか。デコレーションは攻撃的か、香港の民主化への願いは攻撃的か」と疑問を呈した。
批判を受けて、ケーキ・インターナショナルは取り下げについて「装飾の技術不足および作品サイズが大きすぎること」であり、「政治的な理由ではない」と説明を変更した。
生活用品大手キッチン・クリエーション(Kitchen Kreations)の最高経営責任者(CEO)ジェリー・ディケンズ氏はSNSで、「このケーキの背後にある政治的動機に関係なく、出展された作品を破壊し脅迫する側に立つ人物は誰であろうと、次回のショーへの参加を禁止にすべきだ」と主張した。
香港デモをめぐって、今回の英国ケーキコンテストのみならず、世界の他の娯楽分野にも飛び火している。米国の国民的人気スポーツNBA(米バスケットボール)、オンラインゲーム大会を主催したブリザード社は、香港民主デモに支持を示した一部関係者の態度を問題視し、圧力を加えたことで、議論を巻き起こしている。ペンス副大統領は10月の演説で、こうした企業は「中国の完全子会社になったようだ」と痛烈に批判した。
(翻訳編集・佐渡道世)