中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は11月30日、ツイッター上に、中国側は米国との第1段階の貿易合意の一部として、米に関税引き下げを要求していると英語で投稿した。米中通商交渉の行方は依然として不透明だ。
環球時報は、米中貿易交渉に詳しい北京の情報筋から得た情報だとしている。投稿は、合意の条件として現行の対中関税引き下げを米に求めているとし、「12月15日に予定されている関税撤廃を米国が約束しても、既存の関税引き下げに代わることはできない」と主張した。
10月に行われた米中通商協議で、双方は口頭で第1段階の合意に達した。ロイター通信など複数のメディアは、中国当局はそれ以降の合意文書をまとめる際、合意署名の前提として、米側に対して追加関税の撤廃を一貫して主張してきたと報じた。
中国は11月上旬、米側との間で発動済の制裁関税を段階的に撤廃することで「合意した」と発表した。しかし、トランプ米大統領は「中国が取り下げを要求しているが、私は何も合意していない」と述べ、中国側の発表を否定した。
米メディアによると、トランプ大統領は11月26日、中国との第1段階の貿易合意について「完了に近い」と述べたが、「米国にとっては非常に良い合意にしなければならない」と強調した。
ロス米商務長官は12月2日、フォックス・ビジネスの取材に対して、米中が12月15日までに合意ができなければ、「大統領は関税を引き上げる考えを明確にしている」と話した。長官は、15日に予定されている1560億ドル相当の対中追加関税の実施は、米国の「クリスマス商戦に影響を与えない」との見方を示した。
中国官製メディアは、トランプ大統領が11月27日、香港の高度な自治を擁護する「香港人権・民主主義法案」に署名した後、反米論調を強めた。環球時報が強気に米側に対して関税引き下げを求めたのは今回が初めてだ。
環球時報のツイッター投稿に対して、ネットユーザーは「中国当局は約束を守ったことがない。中国当局がWTO(世界貿易機関)に加盟した際に行った約束の履行状況を見ればわかる」「環球時報はいつもフェイクニュースを報道している」などと批判した。
(翻訳編集・張哲)