中国当局はこのほど、大学3校の大学憲章を大幅に改定し、中国共産党の指導の絶対順守を新たに加えることを決めた。上海名門校、復旦大学の学生らが反発した。ソーシャルメディアには、学生らが構内で校歌を斉唱し抗議する動画が投稿された。
中国教育部は12月16日、同ウェブサイトに「復旦大学の憲章の一部変更に関する決定」との通知を掲載した。これによると、新しい憲章には「思想の自由」「真理への探究」などの文言がなく、「学術の独立性」も憲章の後半に移された。代わりに、「党」「社会主義」「新時代」などの中国共産党のイデオロギー思想が多く取り入れられた。
また、「学長が責任を負い独立に職権を行使することを支持する」との部分にあった「独立に」も削除された。変更された憲章では、「中国共産党委員会が指導する」と明記された。
復旦大学の学生は18日正午ごろ、構内の運動場に集まり、校歌を斉唱し抗議を行おうとしたが、大学側に阻まれた。
ツイッターには、復旦大学の食堂に集まった学生らが校歌を歌っている動画が投稿された。多くのユーザーは、この様子について、香港市民や学生がショッピングモールで抗議活動のテーマ曲「香港に栄光あれ」を合唱し、香港政府に「5大要求」の実現を求める光景に似ているとした。ユーザーは復旦大学の学生らの勇気を称え、「復旦を取り戻せ、時代革命だ」などとコメントした。
学生らが歌う校歌は、1925年当時の有名な詩人、劉大白氏が作詞し、音楽教育家で作家の豊子愷氏が作曲したものだ。歌は学術の独立性と思想の自由を強調し、学問で国家発展に貢献するよう促す。1988年、新しい校歌が作られたが不評だった。2004年、同校の開校百周年記念イベントで、学生と教職員の要望を受けて、大学は1925年版の校歌を復活させた。
中国当局は、復旦大学のほか、南京大学と陝西師範大学の憲章にも修正を加え、同様に「党委員会の指導」を入れた。さらに、習近平国家主席が提唱する「中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現に取り組む」を強調した。
中国国内インターネット上でも、当局が大学の憲章を改めたことについて、思想統制の強化だと批判の声が上がった。当局はネットユーザーの書き込みを削除し、教育部のウェブサイトに掲載された復旦大学の変更前の憲章も消去した。
北京の清華大学政治学部の元講師、呉強氏は18日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、中国共産党が10月末の第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、大学を政治思想教育の拠点にする方針を決定したことが、今回の大学憲章改定に繋がったと指摘した。
呉氏は、復旦大学の学生らが校歌斉唱という平和的な方法で思想の自由を求める精神は「非常に貴い」と称賛した。
(翻訳編集・張哲)