安倍晋三首相は中韓首脳との会談などに出席するため、今月23〜25日までの日程で訪中する。北朝鮮が「クリスマスプレゼント」と称した挑発行動を強める中、北朝鮮問題が三カ国会談の中心議題のひとつになるとみられる。
安倍首相は12月23日の夕方に中国の習近平主席と会談。24日に四川省成都で日中韓首脳会談、韓国の文在寅大統領との個別の会談に臨み、25日には中国の李克強首相とも会談する。
北朝鮮は最近、核実験と長距離ミサイル実験の中断後に解除されなかった制裁に不満を示し、米国に「敵対的政策」の放棄を求めている。「クリスマスプレゼント」を届けるなどとして、挑発的な言動を繰り返している。
北朝鮮は5月以降、13回も短距離ミサイルを発射してきた。12月2日には東部の元山湾で、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」を発射した。8日には、北朝鮮当局は北西部の東倉里で7日午後「非常に重大な実験を行い、成功した」と発表した。
12月11日には国連安全保障理事会が北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり公開会合を開いた。米国のクラフト国連大使は、北朝鮮が米本土を攻撃可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)実験を再開した可能性に言及した。大使は、ミサイル発射は「明確な安保理決議違反」と述べ、米トランプ政権が、短距離を問題視しないとしていた姿勢を厳しくすることを示唆した。
北朝鮮は、米国の譲歩の締め切りとして12月31日を設定したが、ワシントンは締め切りを設けないとしている。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、軍事能力を議論するために高レベルの軍事会議を開催した。専門家は北朝鮮が米国との対立の道に戻るのではないかと憂慮している。
米国防総省は23日、北朝鮮を仮想敵とする在韓米軍と韓国軍による襲撃作戦訓練を公開した。挑発的な言動が続く北朝鮮をけん制する狙いがあると見られる。マーク・ミリー米統合参謀本部議長は20日の記者会見で「非常に高いレベルの対応態勢を維持している」「いかなることに対しても準備ができている」と述べた。
朝鮮半島情勢の緊張が高まるなか、北朝鮮を支援する中国がこのほどの日本および韓国との会談で、どのような態度を示すかに関心が集まっている。
韓国聯合ニュースは22日、朝鮮半島問題がこう着状態にあるなか、韓国、米国、中国の指導者が緊密なコミュニケーションを維持し、北朝鮮の対話への復帰を促進する計画を積極的に議論するだろうと伝えた。
12月16日、中国とロシアは国連安全保障理事会で、北朝鮮に対する国連制裁を解除することを提案した。ロイター通信によると、この決議案は、海産物や繊維製品の輸出禁止措置、北朝鮮からの海外出稼ぎ労働者受け入れの規制緩和を安全保障理事会に提案している。
米国は反対票を投じる予定だ。
これは、中国が、米国から日本と韓国を引き離そうという狙いもあるとみられる。韓国は北朝鮮の核交渉の再開に、中国が重要な役割を果たすと考えているが、制裁解除について意見を表明していない。日本は、北朝鮮に対する制裁を常に実施していたが、今回の中ロ案についてコメントを出していない。
安倍首相は21日、トランプ米大統領との電話会談のなかで、北朝鮮情勢について意見交換し、「日本は米朝プロセスを完全に支持する」と述べた。「北朝鮮の危険な挑発行動を断固批判し、平和的な対話を通じて、朝鮮半島の非核化に取り組むよう強く求めていく」とした。
朝鮮半島の状況に詳しい、政策研究大学院の道下徳成氏はロイター通信のインタビューで、2020年の東京オリンピック開催が近くなり、北朝鮮が予想外の行動を起こした場合、日本に多くのトラブルをもたらすと推測している。このため、日本は、中ロによる国連制裁解除案に同意せず、北朝鮮と二国間交渉を行ったほうが良いだろうと述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)