南オーストラリア州の保健局はこのほど、監視カメラメーカー最大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)が製造したすべてのカメラを公立病院や養護施設から撤去する。安全上の懸念からだという。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドが21日に報じた。
2018年、豪国防軍はセキュリティ上の懸念があるとして、基地から同社カメラを撤去した。
米トランプ政権は2019年10月、ハイクビジョンおよび同業の浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)を含む新疆ウイグル自治区公安など28組織を、人権侵害に関わる監視ネットワークを作成しているとして、ブラックリスト入りさせた。
ブルームバーグの報道によると、ハイクビジョンとダーファの2社で、世界の監視カメラ市場の3分の1のシェアを占める。両社は、中国政府からの補助を受けて、市場の占有率を拡大してきた。
報道によると、南オーストラリア州当局は、高齢者施設の警備に関する公的資金の割り当て会議で、このハイクビジョンの監視カメラの問題を提起した。同社カメラを使用することは、地方政府の安全保障ガイドラインに違反するとの指摘が上がった。
オーストラリア戦略政策研究所の国際サイバー政策センター副部長のダニエル・ケイブ氏は、州政府と企業は監視システムに関してどの企業と協力するかについて慎重に検討すべきだと提言している。
台湾の地方政府も、同様にセキュリティ上の懸念から、中国製監視カメラの排除の動きがある。台中市は2019年7月、市内の主要道路に設置された数百台のハイクビジョンの監視カメラの撤去を決めた。また、高雄市市議も同年初め、市議会議場でハイクビジョンの監視カメラを使用すべきでないと述べ、動議を提出した。
動議を提出した市議は「ハイクビジョンが中国企業だから心配しているのではなく、共産党政権が国営企業を利用して他国の機密を盗む問題を心配している」と主張した。
(翻訳編集・佐渡道世)