香港メディアはこのほど、中国で急速に感染が広がっている新型肺炎について、一部の患者が感染を確認される前に死亡したと現地取材を経て報道した。
「端傳媒」1月26日付は、武漢市のある葬儀業者の話として、1月22日夜だけで30体以上の遺体を火葬したと言う。遺体には「新型肺炎の感染は確認されておらず、その日に火葬しなければならない」という共通点がある。また、死亡者は生前、市の新型肺炎の主要治療病院、金銀潭医院で診察やウイルス検査などを受けていなかったことでも共通する。死亡原因は「重度の肺炎」や「病毒性肺炎」などとなっている。
記事は、武漢市に住む65歳の女性市民を取り上げた。女性は1月6日、発熱や咳、頭痛の症状が出たため、自宅近くの病院で診察を受け、「病毒性感冒」と診断された。2日後、別の病院で再び診察を受けたが、異常は見つからないと言われた。しかし、症状が一向に改善されないため、女性は11日、発熱外来のある同済医院に行った。女性と同じ症状の患者で窓口は混み合っていたという。病院側は、女性にCT検査などを行い、「家で様子を見るように」と指示した。
その後、女性市民の病状が重症化し、13日に入院、15日に隔離病棟に移されたが、その直後に亡くなった。家族によると、病院側が15日夜に女性の遺体を直ちに火葬するようにと促した。葬儀場は、非常時期であるため、遺体の清拭や告別式の執行を省くとした。
記事は、中国当局が公表した死亡者数のほかに、統計に入れられていない感染の疑いのある死者も多数いると指摘した。
一方、「端傳媒」によると、武漢市の病院で勤務する医師は、1月以降「患者は日増しに増え続けている」「熱を出した患者が簡易椅子を持ち込んで、診察室の前で並んで座るのを見て、感染拡大はもう抑制できないとわかった。救急治療室にいる患者は死を待つしかない」と話した。
もう1人の医療従事者は、武漢市江漢区の大病院の救急治療室に勤務する120人余りの医療従事者のうち、20人が新型コロナウイルスによる肺炎に感染したと明かした。「医療従事者の人手不足が深刻であるため、患者が亡くなった後、遺体をベッドに放置したままで、速やかに運び出すことができない」と言う。
医療従事者らは、防護服や医療用ゴーグルなどの備品不足が続いていると嘆いた。
同記事によると、武漢市の葬儀場、漢口殯儀館にある14の火葬炉は現在、24時間稼働しているという。
(翻訳編集・張哲)