新型コロナウイルスがまん延するなか、国連傘下の国際民間航空機関(ICAO)が台湾への情報提供を拒否したことについて、米国務省は2月1日付の声明で、「常軌を逸している」と厳しく批判した。
世界で流行性疾患が発生した場合、世界保健機関(WHO)およびICAOは加盟する航空会社への対応を決める。現在、193カ国がICAOに加盟している。台湾は、ICAOとWHOによって長い間、排除されており、最新情報や対応の国際基準を入手できない。現在のICAO代表は、中国政府傘下の民間航空局の元高官である柳芳氏。
ICAOはこの対応を批判した識者のツイッターアカウントをブロックした。
米国務省報道官モーガン・オータグス(Morgan Ortagus)氏は声明で、「ICAOが表現の自由を抑圧し、国際問題における台湾の正当な役割に関する重要な議論を縮小するためにとった行動を深く懸念する」とし、「特に新型コロナウイルス危機への世界的な対応を考えると、国際機関への台湾の参加に言及するツイッターユーザーをブロックすることは、常軌を逸しており、容認できず、国連組織にふさわしくない」と非難した。
ICAOにブロックされた、ワシントン拠点シンクタンク・米国エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute)の客員フェロー、マイケル・マッツァ(Michael Mazza)氏は、台湾中央社の取材に応じた。マッツァ氏は、中国政府は世界的な保健衛生危機に見舞われるなか、人命救助よりも政治的利益を優先したと指摘した。また、マッツァ氏は、台湾政府が湖北省に取り残された台湾人たちを帰郷させるため、チャーター機入港許可を求めても、中国政府が無視することから、その人命軽視の姿勢がわかると付け加えた。
ICAOは公式サイトで、「不正確、不名誉、または攻撃的な情報に基づく質問や発言を繰り返したユーザーは、建設的な会話とは無関係とする」と説明した。ICAOのツイッターには多数のユーザーから「なぜ台湾に言及することが攻撃的なのか」と批判的なコメントが相次いだ。
台湾外交部の高官は2日、WHOに対し台湾を中国の一部と認識しないよう何度も苦情を申し立てているが、WHOの姿勢に変化はないという。
米国のほか、日本およびカナダは、台湾のWHOの多国間の情報共有の枠組みへの参加支持を表明している。
(翻訳編集・佐渡道世)