中共肺炎(COVID-19、武漢肺炎とも言う)の感染者が全世界で急増している。発生源の中国を除き、感染者が1000人を上回った国はイタリア、韓国、イラン、フランス、ドイツとなっている。内訳は、3月10日午前8時40分時点で、イタリアの感染者が9172人、韓国が7382人、イランが7161人に達した。各国における深刻な感染拡大の根本的な原因を考察したい。
一帯一路を支持するイタリア
伊メディアなどによると、8日に同国の感染者が1492人増えて7375人にのぼり、死者は133人増えて366人となった。1日の新規感染者として、過去最多だという。感染者数は韓国を上回り、中国に次ぐ規模となった。
英BBCの8日の報道によると、人口1000万人を有し、ミラノを州都とするロンバルディア州の医療機関のキャパシティー(処理能力)が上限に達している。多くの病院ではベッドが不足しており、一部の患者は病院の廊下で治療を受けているという。
伊国内では、中国からウイルスをイタリアにもたらした感染源とされる人物について憶測が飛び交っている。世論は、中国人観光客か、あるいは中国から帰国したイタリア人かで意見が分かれている。
イタリアでの感染拡大について、台湾の蘇煥智・元台南県(現在台南市)長は2月27日、自身のフェイスブックで、イタリアの重要な繊維業の生産地であるプラート(Prato)の中国人移民が感染源の可能性があると指摘した。蘇氏は、伊政府が「メイド・イン・イタリア」の実態を世界に知られたくないため、感染源について言葉を濁しているとの見方を示した。
同国北部に位置するプラートは、世界有数のファッション都市、ミラノの経済を支えていると言っても過言ではない。高級ブランドのグッチ(Gucci)、アルマーニ(Armani)、プラダ(Prada)などの生産工場がプラートにあるが、これらの工場のオーナーや従業員の多くは中国浙江省温州市の出身者だ。
蘇氏は、伊政府が「メイド・イン・イタリア+中国企業加工」という実態が明らかになり、高級ファッションブランドの価値が下がることを懸念しているのではないかと推測する。BBCは2015年11月11日の報道で、プラートには数千カ所の中国系縫製工場があるとした。
イタリアは中国共産党の主要政策、巨大経済圏構想「一帯一路」に積極的に参加する姿勢を示してきた。同国はちょうど1年前、主要7カ国(G7)のメンバーとして、初めて「一帯一路」構想への正式な支持を表明した。昨年3月、中国の習近平国家主席がイタリアを訪問した際、コンテ首相と会談し、両国は「一帯一路」構想に関する覚書を締結した。
米国をはじめとする西側諸国は、中国当局が「一帯一路」を通じて、世界への経済・政治的影響力の拡大を狙うことを懸念している。昨年4月、ドイツ外相は中国と覚書を締結したイタリアを批判した。
中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の感染が全世界に広まった今、イタリアの感染者数が中国に次いで2番目に多いという事実から、「中国共産党政権寄りの姿勢は危険である」という結論が容易に得られるだろう。
韓国・イランなどの場合
韓国の中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の患者数は世界各国の中で3番目に多い。文在寅(ムン・ジェイン)政権は2017年に発足して以降、中国共産党寄りの姿勢が目立つ。同政府の方針で、釜山市や光陽市などに中国の製鋼所やアルミニウム工場が建設された。中国マネーは同国の永宗島や松島の開発に次々と参入した。
韓国のNPO団体「Turn Right」の担当者はこのほど大紀元の取材に対して、過去数年間、中国共産党は韓国に住む朝鮮族の中国人を操り、韓国の世論操作および選挙介入を行ったと話した。担当者は情報筋の話として、中国当局は朝鮮族の中国人を動員し、文在寅氏が大統領に当選するよう選挙に介入したと言った。さらに、この担当者によれば、韓国の携帯電話企業LGユープラスが中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の設備を導入した後、一部の韓国人が中国当局のネット検閲対象である海外のウェブサイトにアクセスできなくなったという。
イランと中国当局の緊密ぶりは広く知られている。イランは中国共産党に石油資源を提供する代わりに、中国共産党から核兵器開発に必要な技術や他の軍事兵器を手に入れている。中国当局はイランをカードに欧米諸国をけん制している。
日本、フランス、ドイツにも根強い親中勢力
中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の感染拡大により、中国のサプライチェーンが寸断した。これによって、日本をはじめとする世界各国の製造業が、部品調達難で稼働停止や倒産の危機に直面している。世界経済が中国に依存していることが浮き彫りになった。経済的打撃・株価急落が懸念されるが、同時にわれわれは、大手企業が中国に投資し、工場を開設することは、中国国民と世界各国の人々に脅威を与える中国共産党に資金を提供し、政権を維持させているという事実を直視しなければならない。
一方、中国本土に最も近い台湾と香港では感染が拡大していない。
台湾は中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の発生当初から厳しい防疫措置を迅速に打ち出し、国際社会に称賛された。台湾衛生福利部は10日、中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の感染者が新たに2人増えて47人になったと発表した。世界各国の中で非常に少ないと言えよう。
台湾の蔡英文政権は中国当局の浸透工作と金銭的な誘惑に抵抗し、中国共産党と一線を画してきた。中国当局が絶えず台湾政府に圧力をかけ、国際社会において台湾を孤立化させてきたため、台湾市民の大半は中国共産党に好感を持っていない。台湾市民は、昨年、民主化を求める香港市民と学生に催涙弾などを使って武力行使した中国共産党の邪悪さを、より一段と認識した。
地理上、中国本土とつながっている香港は、もはや説明不要だ。香港特別行政区政府は9日、中共肺炎(武漢肺炎ともいう)の感染者が新たに1人増えて115人に達したと発表した。中国から遠く離れたイタリアやイランに比べてはるかに少ない。昨年、香港市民は半年以上、中国共産党への抗議活動を行い、「天滅中共」(天が中国共産党を滅ぼす)というスローガンが書かれた紙を街中に貼った。
中共肺炎(武漢肺炎ともいう)が蔓延する中、親中国共産党の国・地域と反中国共産党の国・地域の現状は対照的である。これは、中国共産党と決別することが、災いを避ける唯一の方法であると示している。この機会に中国共産党ときっぱりと縁を切らなければ、今後より大きな災難が起きた時、さらに多くの人々が犠牲になるかもしれない。
(文・李沐陽、翻訳編集・張哲)