中国の習近平国家主席は3月10日、厳重な警備の下で中共肺炎(COVID-19、武漢肺炎ともいう)の発生源である湖北省武漢市に入った。時事評論員は、習主席は視察を通して、市民の不満を抑え込み、企業の操業再開を一段と促すほか、自身をめぐるクーデターの「デマ」を打ち消すことが目的だと分析した。
武漢市政府が1月23日に都市封鎖措置を実施して以降、習主席の武漢入りが伝えられたのは初めてだ。中国政府系メディアの報道によると、習近平氏は、突貫工事で建設された「火神山医院」を視察し、「ウイルスの拡散の勢いは基本的に抑え込んだ」と感染のピークが過ぎたのをアピールした。
その後、習主席が同市の集合住宅「東湖庭園小区」を訪れた。SNS上では、住民が相次いで写真や映像を投稿し、厳しい警備体制がしかれたと訴えた。投稿によれば、一部のマンションの屋上に狙撃手が待機しており、警官が住民の家に入り検査を行い、1時間以上滞在して住民を監視した。さらに、習氏が武漢市入りする前に、マンションの管理会社は住民に豚肉などの食材を配ったという。外出規制のため、管理会社が住民に食材や日用品などを配り、販売している。
中国メディアの報道では、習主席は住民と面会せず、窓から姿を見せた住民に手を振っていたという。
香港時事評論家の盛傑氏は、警官がマンションの住民の家に入り監視したことについて、「孫春蘭副首相が視察した際の状況が再び起きないように警官を配置した」と大紀元に述べた。
3月5日、孫春蘭副首相が武漢市青山区の集合住宅を視察した際、住民が「すべてがウソだ」と叫び、当局の封鎖措置とプロパガンダ宣伝に強い怒りをあらわにした。
習近平氏は今までの指導部の重要会議で、国の防疫対策指揮チームの最高責任者としてアピールし、「自ら指揮している」と強調してきた。しかし、習氏は実際には武漢肺炎が発生してから、一度も武漢市に入ったことがないため、「国内では不満が高まっている」と盛氏は指摘した。習近平氏らの中国指導部は、視察で国民と武漢市民の不満をかわす狙いだ。
盛氏は、指導部は今回の武漢市訪問を通して、感染拡大のピークが過ぎたことを強調し、企業の営業・稼働再開を加速化する意図もあるとの見方を示した。
一方、中国SNS上ではこのほど、習近平指導部の転覆を企むクーデターが起きたとの噂が流れた。盛傑氏は、「武漢市に姿を現わせば、噂は消えると習氏が考えたのかもしれない」と話した。
(翻訳編集・張哲)