<中共肺炎>中国当局の「マスク外交」に欧州各国が警戒

2020/03/24 更新: 2020/03/24

マスク生産を拡大し、マスク輸出を事実上禁止した中国当局は、中共肺炎(武漢肺炎)の感染が急速に拡大している欧米各国や日本にマスクなどの医療物資寄付し、「マスク外交」を展開している。一方、イタリアは、物資は「購入したもの」と主張し、フランスも「中国に物資支援を行っていた」と強調するなど中国と距離を置く動きが出ている。

中国国家衛生健康委員会は3月19日、100万枚のマスクなどの物資が18日と19日にフランスに到着したと発表した。物資の外装には、フランスの大文豪ヴィクトル・ユーゴ―の言葉、「UNIS NOUS VAINCRONS」(団結すれば必ず勝てる)と書かれている。これに対して、同国のジャン=イヴ・ル・ドリアン外相は中国当局に感謝を述べる一方、中国武漢市で感染者が急増した2月、フランス政府は、防護服やマスク、消毒液などを含む17トンの医療物資を同市に送ったと強調した。

欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は、18日のツイッターで、中国当局はEUに対して200万枚の手術用マスクや20万枚のN95マスクなどを提供する計画だと明らかにした。同時に、委員長は、中国に対してこれまで50トンの医療物資を支援したと強調している。

中国外務省や国営新華社通信は20日、82カ国と世界保健機関(WHO)に医療物資を寄付したと発表した。また、イタリアのルイジ・ディマイオ外相も、中国がイタリアに対して2万着の防護服、5万個の検査キット、10万枚のマスクと1000個の人工呼吸器を寄付したと話した。

一方、イタリアのメディアは、中国から届いた物資の大半はイタリア政府が購入したものだとして、中国当局を非難している。

伊メディア「ll Foglio」電子版12日付は、ディマイオ外相の発言は「国民をミスリードした」と批判。記事を執筆したジュリア・ポンピリ(Giulia Pompili)記者が、伊外務省と民生保護局に確認したところ、中国当局が送った物資は「寄付ではない」との回答を得た。記事によると、ディマイオ外相が中国の王毅外相に、医療物資を購入したいと伝えたため、王外相が中国企業を仲介しただけであり、これは両国間の貿易活動に過ぎないという。

また、同記事は、感染防止策が成功したと宣伝している中国当局が、医療物資を大量に輸出して、政治プロパガンダを行おうとしているとの見方を示した。

ディマイオ外相は、イタリア連立政権を構成する政党「五つ星運動」の前党首である。同氏の主導で、イタリアは昨年3月、中国当局と巨大経済圏構想「一帯一路」に関する覚書を締結した。

米紙ニューヨーク・タイムズ中国語電子版16日付は、世界のマスク生産量の半分を占める中国は、中共肺炎の発生後、生産量を12倍増やしたと指摘している。同紙は、中国当局がマスクの輸出を実質上禁止したうえ、他国からマスクを大量に購入していると批判した。「中国当局の統計では、1月に武漢市で都市封鎖が実施された第1週目に、中国当局は5600万枚のN95マスクと外科用マスクを輸入した」

ニューヨーク・タイムズは、過去2カ月の間、欧米各国と新興国の薬局にあったマスクの大半は中国に送られたとした。

国営新華社通信1月30日付の報道によると、中国IT大手のアリババ集団は韓国、ロシア、日本、ドイツなど各国で650万個以上の医療物資を購入した。

中国政府網によると、騰訊(テンセント)も2月9日までに、イギリスや日本などからマスク335万枚、防護服12万着、大人用紙おむつ2万2500枚を購入したという。また、中国通販サイト「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」は、「湖北省に対して、医療用マスク100万枚、防護服2万着、医療用手袋20万枚、ドイツから輸入した医療用消毒液30トンと1000万元(約1億5482万円)にのぼる検査設備を寄付した」と報じられた。

アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は3月始め、日本にマスク100万枚を寄付し、イラン、欧州、米国にも大量のマスクや検査キットを寄贈すると表明した。

(翻訳編集・張哲)

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