フランス議会上院議員は4月15日、国会で在仏中国大使館が発表した事実に基づかない文書について言及し、仏外相に対応を要求した。在外中国公館は、欧米の中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)封じ込め策が失敗したと喧伝し、中国共産党の対応を礼賛するプロパガンダを繰り返している。
在仏中国大使館は「歪曲された事実を正す―中国大使館外交官による新型コロナウイルス肺炎流行に関する考察(Turning the Upside Down Again – A Chinese Embassy Diplomat’s Observations on the New Coronary Pneumonia Outbreak)」と題したコラム記事を12日に掲載した。
無記名の中国外交官はこのコラムで、「フランスの老人ホームで感染症が発生し、スタッフが一斉に逃げ出し、多くの高齢者を放置して死亡させた」「政府幹部が公金で購入した医療用品を企業に転売し、利益を得ている」「集団免疫を得るために一般市民を犠牲にしている」など外国政府の対応を批判した。
さらに、「中国政府の対応を高く評価した」世界保健機関(WHO)は、欧米からの批判の矢面に立たされたと述べた。「一部の人がテドロス事務局長への個人攻撃を開始した。約80人の仏国会議員が台湾支持の文書に署名したが、台湾はテドロス氏を『ニグロ(黒人に対する侮辱的な表現)』と呼んだ。 この80人の国会議員は、どう思っているのだろうか」
このコラムと同じ内容で、テドロス氏は8日のジュネーブでの記者会見で台湾を批判した。翌9日には台湾政府は声明を出し、テドロス氏の批判は事実に基づいたものではないと反論した。
仏政府は国内の医薬品不足を解決するために、中国工場に6億枚のマスクを発注し、出荷待ちの状態だった。中国に医療資源という外交カードを握られているなか、最初、フランス当局や議員の反応は慎重だった。
しかし、フランス国内では中国大使館への非難が強まり、14日、フランス外務大臣ジャン=イブ・ル・ドリアン(Jean-Yves Le Drian)氏は議会公聴会に出席し、中国大使を呼び出して仏当局の防疫政策に不備があるとするコラムに異議を申し立てた上で、両国の友好関係の維持を伝えたという。
数人の議員が彼の発言に失望感を示した。ドリアン外相に対し、中国大使との会話内容を公開し、なぜ、同記事が今も大使館ホームページに掲載されたままになっているのか説明を求めた。
(翻訳編集・佐渡道世)