米裁判所、米3銀行にワームビアさん家族に北朝鮮資産開示を命令

2020/05/14 更新: 2020/05/14

米コロンビア特別区連邦地方裁判所は、北朝鮮の凍結資産2300万ドル(約24億円)を保有する米国の銀行3行に対して、北朝鮮に投獄され死亡したバージニア大学の学生オットー・ワームビアさんの両親に情報開示するよう命じた。

ワームビアさんの両親は5月8日、裁判所に凍結された北朝鮮の資金の詳細を開示するよう求める保護命令(protective order)の要望書を提出した。裁判所は11日、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの3行に対し、ワームビアさんの家族に凍結資産の詳細を公開するよう同命令を出した。

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ワームビアさん側の弁護士は、3行は2月の時点で、家族の要望を受けて北朝鮮の関連資産を公開することに同意していたという。

ワームビアさん側は、3行が合わせて所有する約2300万ドルの口座番号、所有者、登録住所、過去の口座利用状況に関する情報などを説明するよう要請していた。VOAによれば、JPモルガン・チェースは北朝鮮の資産の大部分を占め、1757万ドルを保有している。ウェルズ・ファーゴが301万ドル、ニューヨーク・メロンが321万ドルを保有している。

オットー・ワームビアさんは2015年末、北朝鮮ツアーに参加中、北朝鮮当局に拘束された。16年に最高裁で労働教化刑15年が言い渡された。2017年6月に昏睡状態で帰国し、その後死亡した。昏睡状態になった原因として、拘束中に受けた拷問と殴打であることが、米国の医師らにより確認されている。

ワームビアさんの両親は2019年以降、息子を死に至らしめた北朝鮮当局の責任を追及するため、米国で保有する北朝鮮の資産を調べている。ワームビアさんの両親の弁護士ジョシュア・スタントン氏はVOAに対して、コロンビア裁判所の判決は、北朝鮮の関連口座に第三者が関与していることなどを調査するもので、ワームビアさん家族が賠償金に相当する資金を受け取ることを保証するものではないとした。

2018年4月、ワームビアさんの両親は外国主権免責法(国際的な人道犯罪の場合、当該政府は外国政府の起訴から逃れるという権利が免除される)に基づいて北朝鮮を提訴した。同年12月24日、ワシントン連邦地方裁判所は拷問、人質、裁判なき超法規的な殺人に対して北朝鮮は責任を負うべきだとの判決を下し、5億100万ドル(約550億円)の支払いを命じた。

連邦議会上下両院の合意した「2020年国防権限法」には、北朝鮮制裁を拡大・義務化するいわゆる「オットー・ワームビア法案」が追加されている。この法案は、規定以上の石炭、鉱物、繊維、原油、石油製品を北朝鮮に輸出入した場合、制裁を科すものだ。さらに、北朝鮮制裁の対象になった個人と取引する海外金融機関には、米国内の資産を凍結し、口座の開設を制限するように定めている。

5月13日、米財務省は制裁対象の個人と企業に対して監視を強化するための文言を追加した。それによると、「2020年国防権限法に従い、海外にある米国金融機関の支店が、制裁対象と取引することを禁止する」と書いた。財務省はVOAに対して、「対北朝鮮制裁対象との取引が禁止されていることを民間分野にはっきり知らせるため」と回答している。

(翻訳編集・佐渡道世)

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