中国ネットユーザーが投稿した映像によると、中国の李克強首相がこのほど、南部貴州省を視察した際、地元の住民が首相に対して就職難を訴えた。また、首相が視察中、「多くの工場が稼働していない」と発言したことも注目された。
李首相は7月6~7日までの日程で貴州省の各地を見回った。7日、貴陽市にある貴州省政務サービスセンターを視察した。
ネットユーザーがSNS上に投稿した動画では、李首相らが同センターからの帰り際、一部の市民が出口の外で待機していた。首相は市民らに対して、「今、一番難しいことは何だと感じていますか?」と質問した。ある一人の市民は「仕事に就くことだ」と大声で答えた。これを聞いて、首相はもう一度同じ質問をした。別の市民も「職を見つけるのが難しい」とまた大声で返事した。
しかし、首相は市民の訴えには返事せず、話を貴州省の交通インフラ建設に切り替えた。
中国メディア「新浪財経」7月6日付によれば、首相は同日貴州省銅仁市の企業を視察した際、幹部や社員らに対してスピーチを行った。首相は、「ここに来る途中で、多くの工場が稼働していないのを見た」と話した。
首相のこの発言が注目された。海外中国語メディアは、李首相が再び中国経済の実情を暴露したとの認識を示した。
最近、李首相の発言は国内外で大きな議論を巻き起こしている。
李克強氏は5月28日、全国人民代表大会の記者会見で「中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人もいる」と明かし、中国国民の約半分は貧困状態にあると示した。6月1日、首相は国内の雇用問題を解決するために、「露店経済」を推奨した。
これを受けて、6月初め、中国政府系メディアは、露店や露天商を批判から一転して、「露店経済」を絶賛するようになった。しかし、この数日後、北京市の共産党委員会機関紙・北京日報は6月6日の評論記事で、露店経済は「首都と国のイメージを低下させる」と主張した。これ以降、中国メディアの「露店経済」への熱が一気に冷めた。
(翻訳編集・張哲)