政府は1000億円あまりを投じて、世界最大のファウンドリー(半導体委託生産業者)TSMCを日本に誘致し、国内で合弁事業を立ち上げる。国の安全保障問題に絡む半導体産業の活性化を図る。
読売新聞7月19日付によると、政府は長らく停滞している国内半導体産業にテコいれして、成長戦略を大きく修正する方針だという。当初の国内企業の連携を断念し、競争力の優れた海外半導体企業と国内の部品企業との国際連携を支援する。
記事によれば、今後数年間で実施するとしているが、具体的なスケジュールについては明かされていない。TSMCと経済産業省はこの報道についてコメントしていない。
TSMCは、世界の半導体委託生産の50%を超える世界最大手。5月、TSMCは米国アリゾナ州に120億ドルを投じて新規工場を建設すると発表した。
米政府は8月、通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)など中国企業5社の製品を使う国内外企業に対して、米政府と取引することを禁じる法律を施行する。対象となる日本企業は800社あまりで、中国の該当製品を除外した調達先の見直しを迫られる。
政府は、中共ウイルス(COVID-19)流行後、日本企業が中国から撤退する場合、関連の費用を支援する700億円枠の政策を打ち出した。米国に追随して、中国依存からの脱却を図る。
中国半導体の原材料の最大の供給元は日本だ。中国のチップ生産に使用されるシリコンの75%は日本から輸入されており、中国は日本への依存度が高い。また、ファーウェイ製品には米部品が消えたことで、日本企業の部品の割合が増加した。
90年代から中国に進出していた京都の半導体企業ロームは6月、海外の後工程生産を日本に移すことを検討していると発表した。
英首相報道官は7月15日、政府が中国華為技術を第5世代(5G)移動通信システムから完全排除する方針に転換したのは、米国の制裁措置が決め手であると明らかにした。19日、日本経済新聞は「英国政府が日本政府に対して、5Gネットワーク通信網建設で協力を求めた」と伝えた。「NECや富士通がファーウェイの代替になる可能性があり、調達先候補になりうる両社の技術やコストの競争力を高める支援を要望」したという。
(翻訳編集・佐渡道世)