スイス銀行(UBS)の最近の調査によると、輸出志向型企業はその生産能力の一部を中国から移転する強い意欲を示している。多くのサプライチェーンの移転は、中国製造業への投資をさらに制限することになる。
UBSのリサーチ部門、UBSエビデンス・ラボ(UBS Evidence Lab)の起業家アンケート調査によると、中国では60%、北アジアは85%、米国は76%の回答者が、生産能力の一部を中国から移転したか、または移転する予定があると回答している。
現在、外資系企業は生産能力の一部を中国から移転することに意欲的になっており、この2年間でその傾向が強まっている。
スイスのUBSグループの汪濤アジア経済研究主幹兼チーフ中国エコノミストは、「外資系企業がサプライチェーンを中国以外に移転することや、中国本土への投資の遅れは、中国製造業への投資に2%の影響を与える可能性がある」と分析している。
同氏はさらに「サプライチェーンの移転は他の関連業界にも波及するので、経済全体への影響がさらに大きくなる可能性がある」との考えを示した。
それ以外にも、長期的に見た科学技術分野での米中分断が最も懸念される。中国側が先端技術を獲得できず、情報交換ができなければ、今後数年でこの分野の生産性や潜在的な経済成長が低下する可能性がある。
今年から、国際社会は科学技術の分野で「脱・中国化」が加速している。たとえば、ファーウェイは9月以降、チップを購入できなくなり、iPhoneの製造工場は中国から撤退し始め、サムスンも製造ラインを中国から移している。さらには米国はWeChatとTikTokを禁じ、インドでも、WeChat、TikTok、百度、ウェイボーなど100以上の中国製アプリを禁止した。
中国メディア「財新網」が最近発表したデータによると、「7月の製造業の新規受注指数は51.5%で、前月より1.2%低く、雇用指数は48.1%と前月より0.6%低くなっている。また、7月の中小企業の輸出注文は7カ月の間で最低値に落ち込み、製造業の雇用指数が7カ月連続で縮小し、工場のリストラは依然として続いている」という。
中国中央銀行の易綱総裁は8月9日、中国経済は世界の景気回復を「リードしている」、第2四半期では世界で唯一プラス成長を遂げた主要経済国だと前向きな発言を連発した。
しかし、米紙ボイス・オブ・アメリカは4日、専門家の分析を引用し、「多くの専門家が中国の第2四半期の経済データに疑問を持っている」と指摘した。
さらに「疫病流行が続く中、中国では都市や地区が封鎖され、さらには洪水災害が27の省に影響を与えている。このような大規模かつ深刻な災害環境の中で、中国経済はどのようにして持続的な回復に必要な勢いを得ることができるのか、想像しにくい」と述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)