内モンゴル中央部の四子王旗の数百人の牧民らは、当局が草原での養豚場建設を許可し、環境を汚染し、生態系を破壊したとして、旗庁舎前でデモ抗議した。
海外に拠点を置く南モンゴル人権情報センターによると、「8月13日、内モンゴル自治区ウランチャブ市四子王旗(Durbed Banner)の約300人の牧民が旗(郡に相当)庁舎前で、「草原での養豚場の建設に断固反対」「生態系破壊に反対」と書かれたスローガンを掲げ、「養豚場はいらない!草原を守る!」などと叫んだ。
地元警察は抗議する牧民らが庁舎に入るのを阻止し、横断幕を押収した。抗議した牧民のうち2人が警察に逮捕され、3人の女性牧民が負傷した。同日午後にも、100人以上の牧民らが抗議行動を行ったという。
翌日、多くの牧民らが逮捕された仲間の釈放を求め、同庁舎前に集まりデモを行った。報道によると、逮捕された2人のうち1人は釈放され、もう1人は拘留されたままだという。
牧民代表は14日、ラジオ・フリー・アジアの取材に対し、「政府と交渉後、当局はこれ以上養豚場を建設しないことや、草原を占拠している軍用通信回線の問題も5日後には解決すると約束してくれた」と述べた。
同氏はまた「養豚場は現在まだ運営しており、われわれはそれを許さない。政府には何度も言った。この場所は一年に一度しか雨が降らず、水もない。5キロも離れた場所に行って水を運ぶしかない。養豚場は水を大量に使う上、汚水を直接排出するため、水源をひどく汚染している」と訴えた。
中国政府は2019年8月、中国の畜産企業が承認なしに土地を割り当てて収用することを許可すると発表し、「いかなる地方政府でも、農村の拡大や生態系の回復などの名目で、大規模な動物養殖の制限や禁止をしてはならない」とした。
それを受け、四子王旗政府は、他の都市からの資本誘致を理由に、地元の牧草地を占用し、漢民族が経営する7つの養豚場を開設した。
情報によると、「地元の牧民からの強い抗議を受け、70日前に全部の養豚場が一時、操業を停止したが、その後1つは操業を再開した」という。
地元の牧民によると、「四子王旗は長年、干ばつに悩まされており、養豚場は大量の水を消費し、希少な水資源までも汚染している。養豚場には水を取得するための地面を掘る設備があり、地下450メートルも掘り下げることができる。しかし、われわれは200メートルしか掘れないし、水源を感知できたとしても1日で使い切ってしまうので、時にはよそへ水を汲みに行かなければならない」という。
(大紀元日本ウェブ編集部)