米国を拠点とする人権団体「南モンゴル人権情報センター」によると、中国政府は内モンゴル自治区(南モンゴル)でモンゴル語を中国語に置き換えることを計画しており、現地で大規模な抗議デモが発生したという。
同人権団体は8月29日、中国が「バイリンガル教育の推進」と銘打って、9月1日から内モンゴルの全小中高大校でモンゴル語を中国語に置き換える計画を進めたため、大規模な抗議運動を巻き起こしたと伝えた。一部の政府関係者も活動に参加し、強い結束力を見せている。内モンゴル各地の生徒と、その保護者、教師が学校に対し抵抗を続けており、学校には誰もいないという。
教師らもデモ活動を行った。エレンホト市のモンゴル人教師全員が授業のボイコットに参加した。
保護者の多くは今後、子どもが学校に通い中国語を学ぶのではなく、自宅でのモンゴル語教育を希望している。これを受け、一部の退職教師や大学生は、子どもたちにモンゴル語を教えるボランティアをしているという。
保護者のほか、一般の遊牧民たちも内モンゴルの主要都市で同時デモを行い、「文化絶滅はさせない」と抗議した。デモには、モンゴルの民族衣装を着用した大勢の地元学生らも参加した。
現地での抗議活動は勢いを増しており、当局は弾圧を強化したという。
ジャルート旗地方に位置するモンゴル語で授業を行う学校の生徒が学校の寮に拘束され、数百人の保護者が学校前に集まり、生徒の即時釈放を要求した。機動隊と数時間にわたる対峙の末、警察の封鎖を突破して子どもたちを家に連れ帰ったという。
ホルチン左翼中旗地方では、保護者のデモが警察の弾圧に遭い、数人が警察に殴打されたのち連行されたという。
また、ホルチン右翼中旗とフレー旗のモンゴル族の保護者らは、デモ中に「私はモンゴル人だ」などのモンゴルの歌謡を歌ったという。
さらに、フフホト市にある「内モンゴル師範大学」の学生とその保護者らは学校の前で抗議し、署名活動を展開したため、警察の鎮圧に遭ったという。
現在、数百人のモンゴル人活動家が当局に拘束または自宅軟禁されており、 ジャルート旗のモンゴル人女性教師のウランツヤア(Ulaantuyaa)さんは、「新言語教育政策に抗議するよう民衆を組織した」との罪で警察に連行された。また地元の牧民首領も外出禁止の命令を受けたという。
(大紀元日本ウェブ編集部)