米紙ロサンゼルス・タイムズの女性記者が最近、中国内モンゴル自治区で起きた抗議事件を取材中、警察署に4時間拘留された。同女性記者は警察署で、警官に両手で首を絞められたという。
内モンゴル教育当局は8月26日の通達で、国語と道徳、歴史の3教科で中国語の教材を採用し、モンゴル語教育を中止した。地元モンゴル族による大規模な抗議活動に発展し、政府機関の職員も賛同している。
同政策の目的は「モンゴル語というモンゴル文化の最後の砦を破壊するためだ」と指摘されている。
同紙は9月3日、北京駐在記者のアリス・スー(Alice Su)氏が内モンゴルフフホトの学校で取材中に複数の私服警官に取り囲まれ、尋問のためパトカーで警察署へ連行されたと報じた。
スー記者は「自分が正当な記者で合法的に取材をしている」と供述していたにもかかわらず、所持品を警察に取り上げられた。警察署にいる間は「北京の米国大使館に電話したい」との要求も拒否されたという。「一時は警察官に両手で首を絞めらた形で留置場に押し込まれた」と述べた。
同記者は4時間以上拘留された後、3人の地方政府職員と1人の警官によって北京行きの列車に載せられて内モンゴルから追放された。
匿名警察官:警察署は毎日、大量の人を逮捕している
米紙ロサンゼルス・タイムズは、匿名の内モンゴル警察官の話を引用して、同自治区の安全部門が抗議運動への対応に追われていると伝えた。
同情報筋は、「自分が働いている警察署は、過去2週間で毎日多くの人々を拘束していること」、そして「2~3時間ごとに指名手配されている市民の通報が入っている」と述べた。さらに、「地元警察がモンゴル人の家に押し入り、二度と政府の『バイリンガル教育』方針に反対しないと保証する文書にサインさせている」と話した。
同警官はさらに「言うとおりにしない場合、彼らは拘束される。さらには反対運動の『主要人物』としてマークされ、今後、監視や統制の対象とされる」と語った。「逮捕された人の中には高齢者、妊婦、高校生などがおり、いったん『主要人物』として認定されれば、生涯、共産党による監視下に置かれる」と述べた。
「中国語教育の強化およびモンゴル語の禁止」モンゴル人が反発
中国北部に位置する内モンゴル自治区の人口は2500万人で、そのうち17%がモンゴル民族、79%が漢民族である。同自治区は最も「漢民族化」された少数民族地域の一つである。
保護者と生徒のグループが9月1日に授業を開始した学校の外に集まり、抗議のスローガンを叫んだ。一部の学生が 「モンゴル語は私たちの母国語だ!私たちは死んでもモンゴル人だ」と叫ぶ様子や、キャンパスを飛び出し路上で抗議する学生、学校に閉じ込められている学生たちが校内でデモを行う様子などを撮影した動画が一時、中国のソーシャルメディア上で大量に転載された。
現在、内モンゴルの多くの抗議投稿が当局の情報検閲でネット上から削除された。 中国当局はデモ抗議者の追跡・逮捕に乗り出しており、モンゴル族学生を追い詰め、強制的に学校への復帰を強要している。
(大紀元日本語ウェブ編集部)