中国とインドの国境地帯での対立がエスカレートするなか、中国共産党がチベット人のアスリートを民兵として起用しているとの報道がある。
チベット亡命人民議会の連絡官ガサン・ジェンツァン(格桑堅参)氏は米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、「中国チベット側からの情報によると、中印国境沿いの見張り所には多数の民兵がいる。彼らは間違いなくチベット人だ」と述べた。
同氏はまた「中国側はチベットのスポーツ学校の学生や四川省成都の戦闘チームのメンバーなどを特別に招集して、国境警備隊に参加させている。特に体力のあるこれらのチベット人を『人間の盾』としてインド軍と対峙する最前線に行かせている。汚いやり方だ」と批判した。
匿名希望のインドのチベット人もまた、「中印国境に駐留する中国軍の中にはチベット人のほかにモンゴル人もいる。体格が良く、戦闘やレスリングが得意だ」とRFAに語っている。
ガサン・ジェンツァン氏はさらに、「中印間で最新紛争が起きた後、習主席は8月28、29日北京で開かれた『チベット活動会議』で『国境の安定を維持する必要がある』と強調した。その日の夜、パンゴン湖(班公湖)で衝突が起きた」と述べた。
今回の再度衝突はここ数カ月以来で激しさが増している。今年6月に起きたラダックの国境地帯の衝突では、インド側は将校や兵士20人が死亡と発表しているが、中国側は死傷者の数を公表していない。
いっぽう、インド側でも、チベット族の予備兵が次々と前線へ配備されている。インド軍には50年以上の歴史を持つチベット族の国境特殊部隊がいて、中国に不当占拠されたラダック地域の奪還作戦に参加している。
ロイター通信は、インド特殊国境部隊に所属するチベットの兵士が、今回の紛争現場近くの地雷爆発により犠牲になったと報じた。インド兵士もこの作戦で重傷を負ったと情報筋の話として伝えた。印大手紙ビジネス・スタンダードによると、この作戦でチベット特殊部隊の中隊長(55)と兵士(24)が死亡した。中国側にも負傷者が出たという。
中印両国の国防相は9月4日、モスクワで2時間20分にわたり会談した。中国側は「責任は完全にインド側にある」と述べ、インド側は「中国側が大規模に軍を集め、現状を変えようとしている」と強く非難した。
北京の社会学者・吳強氏は、現在、中印間対立が激化しており、両国間の戦争の可能性は徐々に増していると指摘した。
また国際関係学者・黃紹堂氏は、中印関係はインドとパキスタンなどの関係にも影響を及ぼし、非常に複雑だとした。両国間の小規模な軍事衝突の可能性は、今後も存在し続けると推測している。
(大紀元日本語ウェブチーム)