米政府はチャットアプリ、微信(ウィーチャット)の親会社である、中国IT大手の騰訊(テンセント)による米国企業の買収と株式保有についての調査を開始した。ニューヨーク・タイムズが9月24日に報じた。テンセントが米国の次の制裁ターゲットになる可能性が出て来た。
トランプ政権は最近、中国動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」とチャットアプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」の使用を禁止にした。
ニューヨーク・タイムズ紙24日付の報道によると、米政府が現在、テンセントの過去の取引に懸念を持ち始めていることから、テンセントがトランプ政権の次の制裁ターゲットになる可能性があるという。
データを提供プロバイダーの「ディールロジック(Dealogic)」社によると、テンセントは過去5年間で総額160億ドルを超える、40件以上の米国取引に関与していることがわかった。同社の米国での投資対象は、アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)、エピックゲームズ(Epic Games)、ライアットゲームズ(Riot Games)、スナップ(Snap)、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)、テスラ(Tesla)、ウーバー(Uber)など含まれる。
また、ブルームバーグもこのほど、匿名の関係者の話として、米財務省の対米外国投資委員会(CFIUS)がテンセントの投資先である米ゲーム開発会社のエピックゲームズやライアットゲームズに対し、米国ユーザーの個人データの取り扱いについて、情報提供を求める書簡を送付したと報じた。ブルームバーグはテンセントへの調査を開始したと指摘した。
CFIUSは、安全保障上の観点で外国企業の対米投資を審査する政府機関であり、対米投資に安全保障上の問題があると判断すれば、米大統領に中止を勧告できる組織である。トランプ政権は2018年以降、中国企業による米ハイテク産業やインフラ産業などへの投資を念頭に、CFIUSの権限を強化し、審査をさらに厳しくした。
エピックゲームズの創設者でCEOのティム・スウィーニー(Tim Sweeney)氏もCFIUSが調査中であることを認めたと、ニューヨーク・タイムズが報じた。スウィーニー氏は「エピックは全面的に協力する」と表明している。いっぽう、ライアットゲームズの代表者は調査についてのコメントを断った。
「もし米国がテンセントとの過去の取引を解除すれば、米中技術戦争は大幅にエスカレートするだろう」と同報道は伝えた。
テンセントはアリババと同様、中国インターネットの大手であり、株式市場の価値はアリババに次ぐ規模だ。
テンセント傘下のウィーチャットが大量の個人データを収集し、ユーザーのテキストメッセージの内容を検閲していることから、CFIUSが同社による米国企業への買収や投資に懸念を示している。テンセント社が投資した企業の多くが大量の個人ユーザーのデータを扱っている。
(大紀元日本ウェブ編集部)