政府は10月5日、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関するオンライン博物館を開設したことについて、正式に抗議を申し入れた。中国共産党は地域の領有権について、国際的な宣伝強化を図っている。
加藤官房長官は、政府は外交ルートを通じて中国側に抗議し、同ウェブサイトの削除を求めたことを明らかにした。「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も、日本の固有の領土であり、現に有効支配している」と指摘し、「わが国の固有領土に対する中国側の主張は、全く受け入れられない」と抗議したという。
中国国家海洋局直属の国家海洋情報センターが開設した「中国釣魚島デジタル博物館」は3日に公開された。同ウェブサイトのページ上部には 「釣魚島(尖閣諸島)中国の固有領土」と大きく書かれている。
同サイトは、「自然環境」「歴史的根拠」「文学」「法的文書」など9つのカテゴリーで構成されている。それぞれ中国が領有権主張の根拠とする史料や地図などを紹介し、明治維新後に「日本が盗んだ」と主張している。また、釣魚島は「台湾の一部」としている。
現在、中国語、英語、日本語が用意されている。ドイツ語、ロシア語、スペイン語およびその他の言語バージョンは後に追加される予定だという。
尖閣諸島の領有権について、こうした情報宣伝のほか、日本に対して領有権を入手するための威嚇行動を強めている。
海上保安庁のデータによると、2020年1~8月に尖閣諸島周辺の領海侵入と、接続水域内で確認された中国公船は合わせて873隻となり、同期比で過去最多となった。中共ウイルス(新型コロナウイルス)流行期においても、その拡張行動は止むことはなかった。
9月25日、海上保安庁は尖閣諸島の領海警備体制の強化を柱とした2021年度予算概算要求を公表した。過去最高額の20年度当初予算額から4%上積みし、2301億3900万円を計上した。
「今回の中国側の動きは、日本側が2018年1月に開設した北方領土・竹島および尖閣諸島の主権立場を裏付ける『領土・主権展示館』への対応と思われる。北京側は国際社会に対して、中国側の主権的地位の強化を望んでいる」とアナリストは分析する。
日本の展示館側は、「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのない事実だ」と主張している。
9月22日、米シンクタンク「ボストン・グローバル・フォーラム」が開いたオンライン国際会議に、衛藤晟一前領土問題担当相が出席し、ビデオ演説で尖閣諸島について語った。「明治28年(1895年)の閣議決定で日本領土に組み入れた」とし、日本の領有権は国際法上にも、中国との歴史的な公文書からも明らかになっているとした。
衛藤氏は、昭和44年(1969年)に国連の調査団が東シナ海の大陸棚に石油が埋蔵している可能性に言及する調査報告書を発表したのち、中国および台湾が領有権を主張し始めたとした。
(大紀元日本語ウェブ)