フランスのナント歴史博物館(Musee d’histoire de Nantes)は10月12日、中国共産党(以下、中共)のモンゴル少数民族に対する政策が厳しさを増しているとして、中国政府と共同開催を予定していた「チンギス・ハーンとモンゴル帝国展」の中止を発表した。
同館は「中国側が展覧会の説明パネルの一言一句を検閲するなどして、モンゴルの歴史を改ざんしようとしていた」と非難した。
同展覧会は、中国内モンゴル自治区フフホトの「内蒙古博物院」の協力のもと、当初は2020年10月17日の開催予定だったが、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大のため、開催を2021年前半に延期したという。
中国側は「チンギス・ハーン」「帝国」「モンゴル語」などの文言の削除を要求し、ほかにも内容の修正や、フランスで制作した地図、パンフレット、広報資料などの検閲を要求したという。
フランスの博物館の館長であるバートランド・ギレット(Bertrand Guillet)氏は、「中共は歴史を書き換え、モンゴル独自の文明や歴史を消滅させて『国の描いた物語』に合わせようとしている」と指摘した。
ギレット館長は歴史家や専門家の助言を受け、「人道的、科学的、倫理的価値観を守るため、展示会の中止を決定した」と表明した。
また、同館によると、この展示計画は当初の構想を維持しながら、欧米にあるコレクションや資料を集め、新しい展覧会を企画しているという。
かつての学生活動家リーダーで、民主化を求める政党・香港衆志(デモシスト) 党首だった羅冠聰(ネイサン・ロー)氏も、フェイスブックで「この問題に注意を払うよう」呼びかけた。
「ウイグル人強制収容所に続くモンゴルの文化浄化は、間違いなく中共の残虐行為に対する国際的な注目を集める次のきっかけになるだろう」「中共が香港人の言語、文化および歴史を消滅させるために、同じ手を使うのではないかという懸念が広がっている」と羅氏は懸念を示した。
(大紀元日本ウェブ編集部)