米国研究者チームは、最新の研究論文のなかで、中国で確認された「豚急性下痢症候群コロナウイルス(SADS‐CoV)」について報告した。このウイルスは、ヒトへの感染リスクがあると考えられ、もしヒトに感染した場合、中共ウイルス(新型コロナウイルス)に似た症状を引き起こすとした。
「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」は10月12日、豚コロナウイルスに関する研究論文を掲載。中国では2016年10月から、豚の下痢や嘔吐の症状を伴う群れの感染を誘発するSADS‐CoVの感染があったと指摘した。
論文によると、SADS‐CoVは中国広東省で発見され、4つの子ブタの群れに胃腸障害、重度の下痢を引き起こした。SADS‐CoVは、コウモリを由来として、ブタに経口感染する。子ブタにとって非常に致命的なウイルスで、感染後は90%の子ブタが5日以内に死亡するという。
研究者は、SADS-CoVウイルスの複製をヒトのサンプル細胞に感染させ、ウイルスの伝播、増殖(複製)などを検証した。すると、SADS-CoVが肺と腸の両方に由来する初代ヒト細胞で、効率的に複製されることを発見した。これは、豚からヒトへ感染する可能性を示すという。
SADS‐CoVは現在、世界的パンデミックを引き起こした「新型コロナウイルス(COVID-19)」と同じファミリーに属している。研究によると、SADS‐CoVがヒトに感染すれば、COVID-19と同様に呼吸器症状を発症する可能性があるという。
この研究は、米ノースカロライナ大学の疫学者、免疫学者、微生物学者の14人からなるチームが行なった。
研究者らは、豚コロナウイルスは流行の可能性があるため、中国の養豚業界は細心の注意を払うべきだと書いている。
昨年にも、中国では「アフリカ豚熱」が発生しており、その結果、数百万頭の豚が殺処分された。
台湾大学医学院感染科の黄立民医師は台湾メディアに対し、「ウイルスが哺乳類に感染した場合、人間が感染動物と頻繁に接触している限り、人間にも感染する可能性はある」と指摘した。
(大紀元日本語ウェブ)