外資企業が中国から相次いで撤退したため、ベトナムに密入国しようとする中国の失業者が続出している。ベトナムの国境警備隊はこのほど、中越国境地帯で、中国広西チワン族自治区出身の不法入国者100人以上を逮捕した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が10月28日伝えた。
報道によると、10月25日、ベトナム北部ランソン省の国境警備隊は、省内で不法入国した中国人76人を、中北部ハティン省の国境警備隊は同省内で中国人25人をそれぞれ拘束した。中国人全員は広西チワン族自治区出身だという。ベトナム当局の取り調べに対して、中国人らは、「国内広東省で働いていたが、昨年初めから外資企業が次々と撤退したため、仕事を失った。外資企業の多くがベトナムに移転したと知って、(ベトナムの)ダナン市で職を見つけようと思った」と話した。
ベトナムで事業を展開している台湾人実業家、郭海光氏は「昨年以降、仕事を見つけるために、中国大陸からベトナムに密入国する中国人が増えている」とRFAに語った。同氏によると、広西チワン族自治区だけでなく、雲南省からも多くの中国人がベトナムに不法に入った。
長年、ベトナムに住む郭氏は、「外資の大手企業は、法を破って不法入国者を雇うことをしないから」とし、ベトナムに進出した中国の中小企業が中国人の密入国を手伝っているのではないかと指摘した。
昨年、英国に密航したベトナム人39人がトラックのコンテナの中で亡くなった状態で発見された。1年後、多くの中国人がベトナムに出向こうとしていることが注目された。
広西チワン族自治区で会社を経営している陳氏は、RFAの取材に「ベトナムの経済発展は、過去の広東省深セン市を彷彿とさせる。ベトナム市場は中国と比べて、より開放されている。この時勢で、労働力がベトナムに流れるのは仕方ない」と述べた。
北京市民の孫雨辰氏は、「密航者が経済先進国に向かうのは普通だが、中国人がベトナムに不法入国したことは、われわれ中国人が深く考えなければならないことだ」と語った。孫氏は、ベトナムへの密航者急増は「中国経済の悪化が深刻化していることを浮き彫りにした」とした。
RFAは22日、ベトナムに入国しようとする中国人技術者約1000人が中越国境に集まったと報道した。また、中国当局は中国人の脱出を防ぐため、中越国境に長さ数百キロメートル、高さ2メートルの壁を建設していると伝えた。
(翻訳編集・張哲)