日本の45大学は、中国軍の技術研究を行う中国の7大学「国防七大学(国防七子)」と学術交流協定を締結している。共同通信が11月29日に報じた。日本の先端科学技術が中国軍に渡れば、軍事や武器の研究開発用途に使われることが懸念される。
国防七大学は、国防産業を統括する工業情報化部が管轄している。機微度の高い兵器や軍用品などの開発、製造を行なっている。この7大学とは、
1・北京航空航天大学 2・北京理工大学 3・ハルビン工業大学 4・ハルビン工程大学 5・南京航空航天大学 6・南京理工大学 7・西北工業大学
を指す。このうち1、3、7は技術を大量殺傷兵器の開発に転用する可能性があるとして、経済産業省の技術の輸出許可を必要とする外国ユーザーリストに載せている。1・3・4・7は米国の禁輸措置リスト入りしている。
中国共産党体制は軍民一体となって技術開発を推進する「軍民融合」政策を進めている。中国当局は民間、学術、研究の各機関を含めて、あらゆる技術を軍事産業に提供するよう要求している。共同通信の報道によると、軍事品へ技術転用の懸念から、45校のうち16校は協定の見直しを検討すると回答している。
8月、文部科学省の調査報告によると、日本は国防7大学から2015年に210人、2016年は245人、2017年には172人の留学生を受け入れている。同問題を調べた長尾敬議員が大紀元の取材に答えた。
静岡大学の楊海英教授は、中国国防7大学は軍需技術を幅広く入手しているという。楊教授は11月30日までに、ラジオ・フリー・アジアの取材に答えた。「北京航空航天大学は全国の衛星、ミサイルを管理しており、西北工業大学は酒泉衛星発射センターやロプノール核実験基地と密接な関係にあり、ハルビン工業大学は東風ミサイルを製造する大学である」
楊教授は、中国軍は日本の技術を熱望していると述べた。「航空宇宙技術はミサイルや人工衛星の技術に利用できる。高性能なコンピュータ機械工学は半導体技術に関わる。つまり、日本の先端技術は、すべて中国の軍事技術に応用できる」
長尾氏によれば、2013年から経済産業省は文部科学省と連絡を取り、中国国防7大学うちの3校について、機密情報の取り扱いを警戒するよう促しているという。このため、「省に警戒の意識はあるだろうが、情報流出の管理監督の仕組みがない状況だ」と問題点を語った。
国防7大学が関わる技術流出の事例は、米国で確認されている。フロリダ在住の中国人女性Amin “Amy” Yu容疑者は、ハルビン工程大学勤務の教授らの指示で、2002~14年にかけて、海洋潜水艇用のシステムと構成部材を中国に輸出した。のちに同大学では海洋潜水艇、無人水中艇、遠隔操作式艇、自律水中艇の開発に使用するためであったと判明した。Yu容疑者は、外国政府のエージェントとして活動した罪と国際マネーロンダリングの罪で訴追され、懲役21カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた。
別の事案では、米国検察当局は、2018年6月、米国輸出法違反で西北工業大学、マサチューセッツ州在住の中国人秦樹仁(Shuren Qin)容疑者および同容疑者が管理する青島領海海洋儀器(Link Ocean Technologies)を起訴した。起訴状によると、秦容疑者は2015~16年にかけて、対潜水艦戦闘に使用可能なハイドロフォン(水中聴音機)78個を商務省の許可を得ずに同大学に輸出した。
文部科学省が平成29年にまとめた報告書(令和2年4月改定)によると、国防7校と大学間交流協定を結んだのは東京大学、京都大学、名古屋大学、千葉工業大学、早稲田大学、慶応義塾大学、大阪大学、東京理科大学、東京工業大学、上智大学などである。
(翻訳編集・佐渡道世)