カナダは、中国共産党人民解放軍を加えた軍事訓練を中止した。現地紙グローブ・アンド・メールなどは12月9日、国際関係省の文書から、2018年までカナダ軍の国内基地の冬季訓練に中国軍兵士が加わっていたと報道した。これを受けて、野党・保守党議員はトルドー自由党政権を追及していた。
報道によると、米国はカナダ国防省に対して、中国軍の参加は安全保障上の問題に繋がりかねないと懸念を示していた。カナダは2013年5月~18年2月まで、両国の軍事交流プログラムに基づき、オンタリオ州ペタワワ基地で中国軍の訓練を支援していた。
国営通信カナダディアン・プレスによると、カナダは2012年3月と13年6月に行われた中国との軍高官会談を通じて防衛関係を進展させた。13年8月、両国の防衛関連活動の指針となる「協力計画イニシアティブ」をオタワで署名した。
カナダ国防相ハルジット・サージャン(Harjit Sajjan)氏は、2020年12月10日の下院議会で野党・保守党の質問を受けて、2019年から中国軍が加わる訓練を行っていないと述べた。
批判される自由党政府の対中政策
2018年12月1日、カナダ当局は米国からの身柄引き渡し要求に応じて、中国通信機器大手・華為(ファーウェイ)の副総裁兼最高財務責任者の孟晩舟氏を逮捕した。
中国当局はその10日後、中国に滞在していたカナダ国籍の元カナダ外交官のマイケル・コブリグ(Michael Kovrig)氏と、ビジネスマンでカナダ籍のマイケル・スパバ(Michael Spavor)氏の身柄を拘束するなどして、カナダに対して敵対的な措置をとり、孟晚舟氏の釈放を要求した。
このたび報じられた公的文書によると、カナダ外務省は2019年、カナダ側が中国との軍事交流を大幅に縮小すれば拘束された2人のカナダ人の状況が悪化する可能性もあるとして、中国軍と交流を中止しないよう国防省に促していた。カナダ外務省は、両軍の軍事交流の縮小は中国側に「孟晚舟事件に関連する報復的な動き」とみなされることを恐れていた。
カナダは同年10月、中国・武漢で開催された世界軍人運動会に参加した。大会後、カナダの中国大使館は「より多くの国が中国の外交政策と発展の道を称賛している」と声明を発表した。しかし、同大会が開催される数カ月前の6月、中国軍の戦闘機が東シナ海でカナダ海軍艦艇に接近し、低空飛行を行った。
カナダの保守党の外交評論家であるマイケル・チョン(Michael Chong)氏と、ジェームズ・ベザン(James Bezan)国防政務官は12月9日、与党・自由党政府の緩慢な対中姿勢を批判する声明を発表した。
声明の中で、「中共政権がカナダ市民を拘束し、私たちの農民を罰し、香港にいる私たちの市民を脅している。しかし、自由党政府は北京の共産党政権の機嫌を損ねることを避けるために、ファイブアイズの諜報網を危険にさらすことさえ厭わない」とした。
カナダのマクドナルド・ローリエ研究所の中国専門家チャールズ・バートン氏はCBCの取材に対して、カナダの内閣は自由党政権か保守党政権であるかに関わらず、国防省と外務省の対中政策は長きにわたって分裂していると語った。同氏は、好戦的で自己主張が強まる中国共産党に対応するため、一致団結することが急務だとした。
(大紀元日本語ウェブ)