米国防総省は12月14日、国防政策委員会(Defense Policy Board)の新たな委員に、ニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)元共和党下院議長やエドワード・ルトワック(Edward Luttwak)戦略研究家ら8人を任命した。トランプ政権はこの数週間で、国防総省の諮問機関である各委員会の人事を一新している。
注目される新たなメンバーは、ギングリッチ氏のほか、「中国4.0」や「日本改造論」などの著書で知られる戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問のエドワード・ルトワック氏、国連組織の国際民間航空機構(ICAO)米国代表トーマス・カーター(Thomas Carter)氏、元米空軍戦闘機パイロットのスコット・オグレディ(Scott O’Grady)氏、トーマス・スチュワート(Thomas Stewart)氏、中国の軍事動向を調査・研究する「中国議員連盟」の会長を務めたランディ・フォーブス(Randy Forbes)氏、ロバート・スミス(Robert Smith)元上院議員、チャールズ・グレーザー(Charles Glaser)元エルサルバドル米大使ら。
クリストファー・ミラー米国防長官代行は14日の声明で、新たに迎えた8人の委員について「議会、国務省、軍などの経験から、この諮問委員会に国防および国家安全保障に関する豊富な知見をもたらしてくれる」とし、刷新した委員会により「大きな利益を得ると信じている」と期待を示した。
国防政策委員会は、国家安全保障を担当する元高官で構成され、国防長官や国防副長官の任務に合わせて、政策助言を行う諮問委員会。
この数週間で、トランプ政権は国防総省の人事改革を急速に進めてきた。トランプ氏は11月3日の大統領選から数日後、マーク・エスパー氏の解任と、国家テロ対策センター所長であるミラー氏の代行任命を発表した。
ミラー長官代行は11月25日、元国務長官ヘンリー・キッシンジャー(Henry Alfred Kissinger)氏とマデレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元国務長官を含む11人の国防政策委員会委員を解任した。
報道によると、国防総省ISIS特別部隊の司令官クリストファー・マイヤー(Christopher Maier)氏も11月30日、解任された。
さらに12月4日、国防総省に経営管理を助言する諮問委員会、国防ビジネス委員会委員のメンバー9人の解任も発表した。
12月9日には、ハドソン研究所中国戦略センター所長で中国政策専門家であるマイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏が、国防政策委員会の委員長を務めると発表。国家核安全保障局の局長であるリサ・ゴードン=ハーガティ(Lisa E. Gordon-Hagerty)氏も同委員に追加された。
国防総省の人事再編は民主党議員から批判を浴びた。「理由はどうであれ、政権移行期に国防長官を更迭することは、国家安全保障を守るという大統領の最も重要な任務を無視しているようだ」と、元CIAアナリストで元国防総省職員のエリッサ・スロットキン(Elissa Slotkin)下院議員は11月9日にSNSに書いた。
ミラー長官代行は11月18日、「米軍の全特殊作戦部隊および情報部門は直接、長官代行に報告するよう」命じた。現行の官僚体制報告ルートを避けることで「ロシアや中国など大国間競争や国境を越えた脅威との戦い」への即応力を高めることができるとしている。
国防総省によれば、ミラー長官代行は兵士たちに「この改革は、部隊と司令部の機敏性を改善し、情報の流れを合理化し、意思決定を強化し、司令官とその優れた陸軍、海軍、空軍、海兵隊の各兵士をより的確に支援することを可能にする」と述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)