米国在住の中国問題専門家ゴードン・チャン氏は1月18日、共産党政権の中国との関係を断つべきだと主張した。
米国生まれの弁護士チャン氏は、共産党体制の脆弱性を指摘する著作「やがて中国の崩壊がはじまる(Coming Collapse of China)」で知られる。このほど、フロリダ中東研究会のウェビナーに出席したチャン氏は「中国の指導者は傲慢であると同時に不安を抱えている。最悪の組み合わせだと私は考える」と語った。
また、中国は米国に対して戦いを挑んでいると述べ「非常事態のように見える。中国政権との関係を断つ必要がある」とした。関係を断つことは、単に中国依存型のサプライチェーンの脆弱性を解消するための分断(デカップリング)では足りないという。
具体的には、米企業の中国工場を米国に引き戻し、研究機関などの技術協力を停止し、文化交流を断ち切ることが挙げられた。また、中国政府外交官やジャーナリストを米国から追放し、中国資本の新聞を止め、中国のテレビ局を米国から排除するなどが提案された。
チャン氏は、徹底した対応をとらないと、緊急事態にある米国の危機は乗り越えられないと考えている。「中国は米国政府を転覆させるために、米国のすべての繋がりを使用している。連邦捜査局(FBI)や法執行機関、連邦政府や州政府も、圧倒されている」
FBIのクリストファー・レイ長官は2020年7月、FBIは約10時間ごとに中国関連の新たな諜報事件の捜査を始めていると述べた。現在、全国で進められているFBIの反スパイ活動約5000件のうち、ほぼ半数が中国関連の事件だという。
「中国の共産主義を変えることは不可能だ」とチャン氏は結論づけている。彼はいくつかの証拠を挙げ、1つ目は中国による中共ウイルス(新型コロナウイルス)の蔓延、2つ目は中国によるアメリカ政府の転覆、3つ目は中国の軍国主義への転落だと語った。
中共ウイルスの拡散
「ウイルスの伝染性について嘘をついたこと、中国からの出国者を他国に受け入れさせたこと、病気の深刻さを軽視する情報を広げたこと。これらの事から、中国共産党は意図的にウイルスを拡散させる狙いがあったと考える」とチャン氏は述べた。
彼は、米国は中国に対して代償を要求しなければならないと述べた。「これが中国本土から発生する最後の病原体ではないだろう。だから抑止力を確立しなければならない。中国から出てくる次の病気はCOVID-19よりもひどいものになる可能性もある」
米疾病対策センター(CDC)の中共ウイルスのデータによると、死亡者は1月17日時点で40万人近くに達した。
チャン氏によれば、中国国防大学から4年ごとに出版されている、軍事科学院軍事戦略研究部が編集する『戦略学』2017年版には、実際に「特定民族の遺伝子攻撃」を可能にする新たな形の生物戦の確立を論じているという。
チャン氏は、中国共産党によるSNSなどのオンラインコミュニケーションを使った情報戦についても指摘した。中国外務省報道官の趙立堅氏は2020年3月12日、ウイルスは米国で始まり、米軍が武漢に運んだと主張した。チャン氏は、こうした趙報道官の発言に代表されるように、中国共産党は米国に混乱を引き起こす情報戦を展開していると分析している。
ツイッターは2020年6月、17万4000件の中国の偽装アカウントを停止した。チャン氏は、これはたった一つのSNSにおける例に過ぎないとした。
中国の軍国主義
中国共産党の官製紙・環球時報は2019年5月、米中貿易戦争は「人民戦争」であり、全人民の脅威だと主張する記事を発表した。
チャン氏の分析によれば、米国は国際的なシステムを維持しようとしているが、中国は、米国が中国の台頭を阻止しているとみなしている。「中国は現存の国際システムの下で生存したくないと考えている。それを完全に打倒したいと思っている」と彼は続けた。
チャン氏によると、中国は現在「戦狼外交」を展開している。軍事力を背景にして、好戦的で強迫的な行動をとる外交手法だ。具体例として、習近平主席は台湾への軍事侵攻をほのめかし、周辺諸国を威嚇し、インドの係争地に立ち入り兵士21人を殺害した。「そして香港の自治権を奪うことも急速に進んでいる」とした。
チャン氏は、中国が軍国主義に走る理由は、習近平主席が権力維持のために軍事力強化を掲げているほか、多数の国内問題を抱えているからだとみている。「経済成長しなければ(共産党の)正当性の唯一の基盤はナショナリズムになる。これは実際問題として、海外での軍事衝突を意味する」と述べた。
「敵が米国の開放的なシステムを利用して、米国の政府形態を転覆させることを許してはならない」とチャン氏は結論付けた。
チャン氏は、中国共産党体制は第三帝国(訳注:全体主義)だと表現した。「問題はヒトラーのような人物にどう対処するかだ。これは中国が行っている人道に対する罪だ」と述べた。また、中国共産党による強制収容、大量虐殺、強制臓器摘出などは、1941年の大量虐殺前の「第三帝国よりも悪い」と答えた。
「私たちは悪に対処している。民主主義社会の人々にとって悪の理解は非常に難しい。悪に対処する完璧な方法はない。悪への対応は失敗することもあるが、まだチャンスがあるうちに、すぐ対処した方がよい」
(翻訳編集・佐渡道世)