米大統領の就任式が行われた首都ワシントンで警備を担当した各州の州兵が、理不尽な扱いを受けたことが分かり、批判が殺到した。テキサス州など3つの州知事は州兵に帰還を命令した。
米メディア「ポリティコ(Politico)」は1月21日、休憩を取ろうとする州兵は、議会議事堂ではなく、屋外または近くの駐車場に行くよう指示されたと報じた。
ポリティコが掲載した写真では、シフト制で12時間の任務を遂行した兵士らは、駐車場の地面で寝ている。一人の州兵は、駐車場の中ではネット接続ができず、5000人の州兵がいるのに充電する電源のコンセントは1つしかなく、浴室も1つしかないと訴えた。夜になると、ワシントンDCの気温は4度まで下がるという。
もう一人の州兵は、バイデン氏の就任式当日、数十人の議員に握手を求められ「感謝された」が、「24時間も経っていないのに、私たちの役目は終わり、駐車場に追い払われた。私たちは信じられいないほど裏切られた」とポリティコに語った。
テキサス州のグレッグ・アボット(Greg Abbott)知事は、同州の州兵に帰還を指示したとツイッターに投稿した。知事は18日、国防総省や連邦捜査局(FBI)とシークレットサービス(USSS)が、ワシントンDCで警備に当たる州兵の身元を調査していることについて、「攻撃的だ」と非難した。
フロリダ州知事とニュー・ハンプシャー州知事も州兵を呼び戻した。
フロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事は22日、米フォックスニュースに対して、州兵がワシントンで不公平な扱いを受けたと糾弾した。知事は「彼たちは兵士だ。ナンシー・ペロシ氏の召使いではない」と強い不満を口にした。
この出来事が報道された後、米国内で波紋が広がった。チャック・シューマー(Chuck Schumer)上院議員兼院内総務は、州兵が不適切な対応を受けた問題について調査する意向を示した。
タミー・ダックワース(Tammy Duckworth)上院議員は複数回、議会議事堂の警察当局に抗議の電話を掛けたと明かした。同議員によると、22日議事堂の警察当局は謝罪し、州兵らが議事堂の建物内で休憩することを許可した。
大統領就任式のために、各州から約2万5000人の州兵が派遣された。ロイター通信22日付によると、そのうちの150~200人の州兵が中共ウイルス(新型コロナウイルス)に感染した。
(翻訳編集・張哲)