中国武漢に入っている世界保健機関(WHO)の調査団は隔離措置を終え、29日から中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源などに関する現地調査を本格化させるとみられる。同市の感染者遺族は調査団との面会を求める声が上がっているが、中国当局は遺族らへの締め付けを強めている。
中国当局の反対で、これまで調査団の武漢訪問の調整が難航していたが、調査団は14日、ようやく武漢入りを果たした。今後の調査結果について、世界から注目を集めている。
米ホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は27日の記者会見で、「当面の急務として、新型コロナウイルスの発生源が中国であるかを調べること」と今回の調査を支持する立場を表明した。
一方、中国外務省の趙立堅副報道局長は28日の会見で、「WHOの専門家は今後中国で、座談会、(市民を)訪問、視察などを通じて発生源の調査について交流と協力を展開していく」と発言した。米政府が発生源をめぐる国際調査を呼びかけていることに対して、趙氏は「否定的な憶測や政治的な解釈」をすべきではないとけん制した。
中共ウイルス感染者遺族の張海さんはWHOの調査団に対して面会を求めたが、調査団から返答はなかった。「WHOが遺族と面会することも恐れているなら、現地調査は世界各国の人々への欺きに過ぎない」と張さんは26日、米メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材を受け、こう述べた。
張海さんは昨年1月17日、大腿骨を骨折した父親を手術のために武漢の病院に入院させた。張さんは、感染拡大はすでに制御できたとの当局の発表を信じていた。当局は当時、感染に警鐘を鳴らした医師らをデマを散布したとして処分した。
しかし、3日後の20日、中国の感染症の権威である鐘南山氏は「人から人への感染がすでに発生した」と発言した。術後に父親は発熱し、入院2週間後に亡くなった。
張さんは昨年12月、NHKの取材に対して「武漢でこれほど感染状況が深刻だとわからなかった。とても悔しいと謝った。父が亡くなって半年以上たったが、この苦い記憶は決して忘れることができない」と、政府の隠蔽が父の死をもたらしたと訴えた。
張さんはRFAに対して「WHOも良心に逆らい、嘘の発表を続けるのであれば、これは死者への最大の侮辱だ」と述べた。
英紙ガーディアン27日付によれば、WHO調査団の入国とともに、中国当局は遺族らに対して締め付けを強めた。
遺族らは、武漢市政府が感染情報を隠ぺいしたと批判し、政府公表の死亡者数を疑問視する遺族数十人が情報交換のため、SNS微信(ウィーチャット)でグループチャットを作った。中国当局はこのほど、同グループチャットを閉鎖したという。
昨年1月以降、世界各国で中共ウイルスが大流行したにもかかわらず、中国当局は国際機関の現地調査を認めず、各国とのウイルス情報の共有を拒んでいる。
米国のポンペオ前国務長官やポッティンガー前大統領副補佐官(国家安全保障担当)は、中国の武漢ウイルス研究所から中共ウイルスが漏れた可能性を指摘したことがある。
(翻訳編集・張哲)